この機能って必要? そう感じても「G-SHOCK」が欲しくなる理由:水曜インタビュー劇場(G-SHOCK公演)(2/6 ページ)
カシオ計算機のG-SHOCKが売れている。パンフレットをみると、さまざまな機能が搭載されているが、スーツを着ているサラリーマンには「これ必要なの?」と思えるようなものばかり。それでも、売れている理由を探っていくと……。
まず“世界観”を決める
土肥: 8月に、G-SHOCKの新作が発売されました。過酷な陸上の環境で役立つ耐振動構造、防塵(ぼうじん)・防泥構造を採用〜〜〜がウリだそうで、まさにザ・G-SHOCKといった感じなのですが、どういった経緯で商品化されたのでしょうか?
斉藤: G-SHOCKといえば、デジタルを想像される人が多いと思うのですが、実はアナログも売れていまして、会社として「独自の技術を発信していこう」という方針があるんです。G-SHOCKでなにができるのか? を考え、陸・海・空をテーマにしたモノをそろえようとなりました。
土肥: なるほど。で、今回のように陸をテーマにした時計を開発されたわけですね。
斉藤: いえいえ、そんなに簡単には決まりません。空であれば、空のどこ? パラシュートで落ちてくるときの空なのか? 飛行機で飛んでいるときの空なのか? 海であれば、海のどこ? 太平洋の遠い海なのか? 日本海の近い海なのか? 陸であれば、陸のどこ? といったことを決めなければいけません。
土肥: 商品を開発する際、誰に向けてつくるのか。ターゲットを決めることが多いと思うのですが、G-SHOCKの場合はまず“世界観”のようなものを決められるのですね。
斉藤: ですね。次に、どんな人に使っていただけるのかを考えます。陸をテーマにしたマッドマスターの場合、消防隊員、警察官、レスキュー隊など、過酷な現場で必要にしている人たちを想像しました。「消防隊員」といっても、火を消す人たちなのか、救急活動をする人たちなのか、救助活動をする人たちなのか。それとも違う仕事をする人たちなのか。さまざまなことを考え、マッドマスターの場合は、泥だらけの中で救助活動をしている人たちが身につける時計をつくることはできないか、といったことを考えました。
過酷なシーンでの作業になるので、時計に泥が入ってはいけません。素手ではなくグローブを着用する人が多いので、グローブをしたまま時計を操作できなければいけません。そんなことを考えながら、開発を進めていきました。
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