なぜUSJは沖縄でテーマパークを造るのか 裏にオトナの事情アリ:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
USJを運営する株式会社ユー・エス・ジェイが、沖縄にテーマパークを造る計画を公表した。「沖縄でもハリーポッターみたいなアトラクションが楽しめる」と思うかもしれないが、その手の施設が造られることはない。なぜなら……。
スピン経済の歩き方:
日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。
そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」を紐解いていきたい。
先週、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」を運営する株式会社ユー・エス・ジェイが2020年春までに「沖縄美ら海水族館」のある国営公園「海洋博公園」内にテーマパークを造る計画を公表した。
「え? ってことは沖縄でもハリーポッターみたいなアトラクションが楽しめるじゃん!」と早合点する方もいるかもしれないが、現在検討中のテーマパーク内に、その手の施設が造られることはない。「ユニバーサル」の名は冠さず、大阪のように「ワンピース」などの国内人気キャラを使うでもなく、「南国の美しい自然」を体感できるアトラクションが造られる、らしい。
大阪のUSJのように映画を使った施設はライセンス料だけでもバカ高くなるため旨味が減る。この「南国テーマパーク」で収益性の高い新たなビジネスモデルを構築したいというユー・エス・ジェイの思惑が透けてみえる一方で、このコンセプトで魅力のある施設を造れるのかという疑問もよぎる。沖縄というリゾートアイランドで、わざわざ高い入園料を払って「自然」を体感しようというニーズがどれだけあるのか。
その不安に拍車をかけるのが、ユー・エス・ジェイが掲げる「目標」だ。
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