「LGBTの問題」はたくさんあるのに、なぜ対応が進まないのか:水曜インタビュー劇場(LGBT公演)(6/6 ページ)
LGBTを取り巻く環境をみると、さまざまな問題がある。課題を解決しなければいけないのに、なぜ取り組みがなかなか進まないのか。LGBT問題に詳しいNPO法人「虹色ダイバーシティ」の村木真紀さんに話を聞いた。
なにもやらないことがリスクや損失に
土肥: 最後の質問です。日本企業もLGBTの問題に取り組むところが増えてきているようですが、今後も広がっていくと思いますか?
村木: はい。例えば、携帯電話大手3キャリアすべてで、同性パートナーの家族割引適用が可能になりました。このほかにもさまざまな企業が取り組んでいて、成功しているケースが多いんですよ。ちなみに、欧米では宗教上の問題が関係してきて、ボイコット運動に発展するケースもありました。
日本では同性同士の結婚は法律で認められていません。しかし、式場やホテルで同性結婚式ができることが知られるようになり、徐々に結婚式を挙げるカップルが増えているんですよね。例えば、2013年3月、東京ディズニーリゾートで女性同士の挙式が大きなニュースになりました。このことを知って、「もうディズニーには行かない」という人ってどのくらいいるでしょうか?
土肥: 聞いたことがないですね。
村木: アパレルブランドのGapは「2014年、Gapはセクシャルマイノリティが差別や偏見にさらされることなく、平等に生きていける社会を目指す東京レインボーウィークの趣旨に賛同し、この活動を応援します」と宣言しました。そして、代々木公園近くの原宿店ではシンボルのロゴマークに、LGBTを象徴するレインボーをあしらったんですよ。
「さすがはGap。外資系の企業は違うなあ」と思われたかもしれませんが、このときに使われた虹色のロゴって日本が初めてだったんですよね。Gapのロゴマークにレインボーがあしらわれたからといって、「もうGapの服は買わない」という声は聞いたことないですよね。
土肥: ないない。
村木: 原宿店の試みは、その後、海外にも広がっていきました。このように、企業がLGBTに関する取り組みをしたからといって、日本で不買運動などにつながるリスクはかなり低いのではないでしょうか。むしろ、なにもやっていないことがリスクや損失になる――近い将来、そんな世の中になるかもしれません。
(終わり)
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