きれいなトイレで女性が輝く? 迷走する女性活躍政策(2/3 ページ)
「すべての女性が輝く社会づくり」政策の一環として行われた「日本トイレ大賞」。呪いのようなジェンダーコンプレックスを平気で取り上げる勘違い政策。「日本トイレ大賞」の内容が良かっただけに二重に残念でした。
なぜトイレが「すべての女性が輝く社会づくり」政策の一環なのか
政策パッケージでは女性の活躍=暮らしの向上=トイレである理由をこう説明しています。
「我が国の経済社会の活性化にとって、女性の力は不可欠である」「その力を一層引き出す」ために、「もっとも基盤となるのが暮らしの質の向上である」「女性が暮らしやすくなる空間へ転換する「象徴」としてトイレを取り上げる」
なんでしょうか、この飛躍する感じ。いかにも後付けした理屈にしか読めません。
これが募集要項になると、ますます分からなくなります。
「空間部門」:華美ではないが世界に誇りたくなるトイレ、子どもたちが入りたくなる学校のトイレ、資金を工夫して快適にしたトイレ、行列解消の工夫をした女性用トイレなど、多数の者が使用する施設等のトイレの所有者、管理者。
「活動部門」:我が国の技術を生かしたトイレに関する国際貢献、途上国支援、災害時の対応、環境配慮、快適で魅力的なトイレが増えるための町づくり・観光支援などの活動を行った(ている)個人、団体。
実に幅広く、興味をそそられる内容になっています。しかし「すべての女性が輝く社会づくり」との直接的な関係はなさそうに見えます。というより、もう何の関係もありません。
「すべての女性が輝く社会づくり」政策は、いつも、どこかピントがずれています。ブログに起用する“輝く女性”の選択や、このトイレ大賞や、そもそもこの政策の名称自体、違和感ばかりを感じてしまうのは、筆者だけではないでしょう。
「すべての」と銘打ったがために、八方美人的に、女性を取り巻くありとあらゆる社会問題を全部政策の対象としなければならなくなり、あまりにも問題が多様なために、八方ふさがりになっているのかもしれません。
さまざまな人を起用して、さまざまな企画を出してみるのですが、おそらく最終段階で口を出すどこかの「おじさま・おばさま政治家」あたりの意見を無視できなくて、おかしな着地点になっているのかもしれません。
いずれにせよ、この政策の底にいつも見え隠れするのは、従来通りの代わり映えのしない性差別、男女の役割分担意識なのです。
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