アリさんマークの引越社が「恫喝映像」をネットに流されてしまった理由:スピン経済の歩き方(4/5 ページ)
アリさんマークの引越社と訴訟中の社員が加入しているプレカリアートユニオンが、ネットにあげた映像が話題になった。引越社の幹部が恫喝しているので、ネット上では「酷い会社だ」などと批判されているが、そもそもなぜこの映像が流れたのか。
アリさんマークの引越社の「認識」が甘かった
今回、映像をアップしたプレカリアートユニオンや全国ユニオンというのは、企業のなかの多くの従業員が加入するいわゆる「企業内労働組合」とは異なり、「ひとりから加入できる」という合同労組である。彼らの最大の強みはなにかといえば、団体交渉を拒否されて提訴になった場合、相手企業のイメージを徹底的に貶(おとし)めることができることにある。
企業内労組の場合、ブラック企業だなんだと会社前や取引先へビラをまいたり、ネットで経営陣が人権無視だとかいう情報を広めたりすると、企業の社会的評価が下がり、業績が悪化して賃金が下がるなどまわりまわってブーメランのように、自分たちを苦しめる。ゆえに、手心をくわえるわけではないが、労使交渉や街宣にもある程度の「一線」が保たれる。
しかし、合同労組の場合はそのようなしがらみがない。加盟している個人の利益だけではなく、その企業全体の待遇改善を求めている場合でも、「一線」を越えた行動をとるケースがある。企業内労組ではあまり行われない、経営層個人宅への街宣、取引先や一般社会へ、企業の社会的評価を貶める情報拡散も躊躇(ちゅうちょ)なく行われるのだ。
そんな合同労組と事を構える時点で当然、このような事態に発展することを覚悟して対策を打たなくてはならない。グループ従業員3965名(平成26年5月末現在)という規模の企業としては、あまりにも認識が甘かった、と言わざるをえない。
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