ジュンク堂「非公式アカウント騒動」が「言論問題」にすり替えられてしまった理由:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
MARUZEN&ジュンク堂書店が、渋谷店で実施されていた「自由と民主主義のための必読書50」というブックフェアを中止し、店頭にあった書棚を撤去した。事の発端は「ジュンク堂渋谷非公式」というアカウントが、Twitterでブックフェアを告知して……。
スピン経済の歩き方:
日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。
そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」を紐解いていきたい。
10月22日、丸善ジュンク堂書店が「MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店における一部のツイート及びフェアについて」というリリースを出した(参照記事:「ジュンク堂渋谷非公式」のツイート、丸善ジュンク堂が「公式見解ではない」と表明 一部から“偏り”指摘
読んでいただければ分かると思うが、「従業員による私的なTwitterアカウントより、特定の意見を支持するツイート」があったけれど、これは会社の公式な意思・見解とは異なるという「釈明」である。
きっかけは、丸善ジュンク堂の従業員が「ジュンク堂渋谷非公式」というアカウントで、渋谷店のレジ前に「SEALDs」の関連本を集めたブックフェア「自由と民主主義のための必読書50」について紹介したことだった。
安保法制の反対デモを国会前で繰り広げた学生団体「SEALDs」は一部のネットユーザーからボロカスに叩かれているが、書籍市場では「数字がとれる」と好意的に迎えられている。9月の3〜4週目には紀伊国屋(社会・政治)、丸善ジュンク堂(社会時事)、三省堂書店(社会学)などでのきなみ1位を獲得しているのだ。書店も商売である以上、売れるものは販促フェアをうつ。実際に紀伊国屋書店も「SEALDs選書」なんてフェアをやっている。
そんなありきたりのブックフェア告知だけならば問題はなかったのだが、以下のようなツイートを行ったため一気に「炎上」してしまったのだ。
この先イベントやフェアを次々ぶちかまして行く予定なので。年明けからは、選挙キャンペーンをやります! 夏の参院選まではうちも闘うと決めましたので!
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