ジュンク堂「非公式アカウント騒動」が「言論問題」にすり替えられてしまった理由:スピン経済の歩き方(4/5 ページ)
MARUZEN&ジュンク堂書店が、渋谷店で実施されていた「自由と民主主義のための必読書50」というブックフェアを中止し、店頭にあった書棚を撤去した。事の発端は「ジュンク堂渋谷非公式」というアカウントが、Twitterでブックフェアを告知して……。
丸善ジュンク堂の対応には一抹の不安
店長はこうおっしゃるが、ジュンク堂書店の店員のなかには当然、Twitterもしている人もいればネットをしている人もいる。「ネトウヨ」的な論調を、「本の力」で叩きのめしたいと考える書店員もいるだろう。そのなかでSEALDsや反安保に感化されたような方であれば、「言論の自由」に過度に反応し、いきりたって「闘争」を呼びかける、というのは容易に想像できる。つまり、今回の「騒動」の根っこには、一部書店員に芽生えた「不満」や「怒り」がある可能性が高いのだ。
そういう意味では、今回の丸善ジュンク堂の対応には一抹の「不安」がよぎる。先のリリースには以下のような「現場介入」が示唆されているからだ。
弊社方針のもとフェア自体は継続してまいりますが、本来のフェアタイトルの趣旨にそぐわない選書内容であったため、現在その内容について精査し選書を見直して再開する予定です。
今でこそ大日本印刷傘下となり、丸善との合併で大型書店の代名詞となったジュンク堂だが、もともとは現場に「自由」を与える画期的なスタイルで急成長を果たした。2006年3月1日の日経ベンチャーでは、このよう語られている。
各店舗の運営は店長以下の現場の社員に100%任せている。これがアルバイトも含めた、社員のやる気を引き出している。店舗スタッフは法律、人文、理工、医学などそれぞれ担当のジャンルを持ち、品ぞろえから仕入れ注文、書棚での並び順などの一切を任される。ジュンク堂の特長の一つでもある"カリスマ店員"。本好きの客のどんな注文、質問にも答えられる店員はこうして育てられていくのだ。
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