メルシャンの担当者が、何度も何度も「ブドウ畑」に足を運ぶ理由:水曜インタビュー劇場(ワイン公演)(3/7 ページ)
ワイン市場が伸びているのをご存じだろうか。その謎を調べていくうちに、ワインメーカー「メルシャン」の担当者が、ブドウ畑に何度も何度も足を運んでいることが分かった。その理由を聞いてみると……。
欧州で主流の「垣根式栽培」を導入
生駒: かつては「棚式栽培」という方法が、日本では主流でした。生食用では一般的な方法で、棚を仕立ててブドウのつるを這(は)わせる。1本の木からたくさんのブドウができて、実が大きくなるとみずみずしくておいしいモノができるんですよ。でも、このブドウをワインの原料を使ったらどうなるのか。凝縮感に欠けてしまうんですよね。
そこで、欧州で主流の「垣根式栽培」を導入しました。地面から枝が垂直に立っていて、1本の木から収穫されるブドウの数が少ない。制限してつくることで、ブドウの凝縮感を味わうことができ、おいしいワインができます。
土肥: なぜ、日本では棚式栽培が採用されていたのでしょうか?
生駒: 気候が関係しているんですよね。日本は雨量が多くて高温多湿なので、地面が湿っているとブドウが病害にかかりやすい。そうしたリスクを避けるために、地面からできるだけブドウを離す棚式栽培が採用されました。
土肥: えっ? でも、垣根式栽培のほうが地面に近いですよね。
生駒: 確かに地面との距離は近いですが、葉っぱを少なくすることで風通しをよくする。そうすると、湿気が少なくなってブドウが病害にかかりにくくなるんですよ。
土肥: 手間暇かかりますねえ。
生駒: このほかにも、芽が出たときに芽の数を調整したり、ブドウができたときに房を落としたりしなければいけません。
土肥: 以前は棚式栽培だったのに、欧米では主流の垣根式栽培を導入された。というわけで日本のワインもおいしくなった――。そんな簡単な話ではない?
生駒: ないです、ないです(苦笑)。
土肥: どんな苦労があったのでしょうか?
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