本田圭祐が出場できない裏に、イタリア特有の“事情”:赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)
ACミランの本田圭祐が、もがき苦しんでいる。監督、首脳陣、サポーター、イタリアメディアを批判してからも、ベンチスタートが続いている。現地メディアは当初、本田の批判に対して好意的に受け止めていたが、なぜ風向きは変わったのか。その理由は……。
“禁断の批判”が自身を窮地に
ところが本田への風向きは今もまったく変わっていない。実に1年2カ月ぶりとなるリーグ戦3連勝で5位に浮上したチームとは対照的に自身のプレーは低空飛行で28歳のFWアレッシオ・チェルチの控え扱いだ。代表ウィークを挟んで再開となった第8節(10月18日・トリノ戦)からチームは「4-3-3」にシステム変更となり、本田の得意とするポジションの「トップ下」が廃止されたことも逆風を強める要因となっている。昨季もゴールが量産できずに苦しんだ右FWで存在価値をアピールしなければならない現状を見ていると、何か「飼い殺し」にあっているのではないかと思わざるを得ない。
本田の発した“禁断の批判”が自身を窮地に追いやったのは、まず間違いない。それを示すようにイタリアには「仲間とともにトンネルの出口を見つけても黙って見過ごしたほうがいいこともある」という諺(ことわざ)があるという。要するに、たとえ正しいことを口にしても“お上”から潰されてしまう。だから我慢できることは我慢したほうが得策だぞ――というような意味合いだ。個人的には正直賛同できる諺ではないが、イタリアにはそういう風潮もあると聞く。
こうした風変わりなベースがあるイタリア社会において、本田が過激な批判を口にすれば、たとえそれが「正論」であったとしてもクラブ上層部から粛清対象となったとしても不思議ではない。この「舌禍(ぜっか)事件」で本田はクラブ側から奇跡的に罰金などの罰則を課せられなかったものの、その代償として“見えない報復処置”が遂行されているようにも見受けられる。
先に述べたようにチームのシステムが「4-3-3」に変更されたのは、本田から批判が飛び出してから初戦の第8節からだった。実際に地元のミラノでは「批判をした本田に激怒し、彼がフィットしないようなシステムへの変更をオーナーのシルヴィオ・ベルルスコーニ氏が監督に進言したのではないか」とのうがった見方も少なくない。
さらに本田の批判について「正論」としていたはずのイタリアメディアも、今となっては「プレーも満足にできていないのに口だけは王様気取りだった」(ガゼッタ・デロ・スポルト)と手のひら返しをしている始末である。もちろん本田が結果を出していないのだからプレーの面でメディアに叩かれるのは仕方がないが、以前に賛同していたはずの批判についてまで「NO」を突きつけるのは節操がないと言わざるを得ないのではないか。
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