「本を愛する人」からTSUTAYA図書館が嫌われる理由:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
TSUTAYA図書館に対する「排除ムード」が広がっている。かなり強いバイアスのかかった「ネガ情報」が横行しているが、筆者の窪田氏はこの流れに違和感を覚えるという。なぜなら……。
図書館が指摘され続けてきた負の部分
そんなことを言うと、ネットユーザーのみなさんから「こいつはCCCのステマだ!」と叩かれてしまうかもしれないが、TSUTAYAはたまにDVDをレンタルするくらいでなんの付き合いもない。
個人的にはTSUTAYA図書館がどうなろうが知ったこっちゃないのだが、従来の図書館が抱える負の側面までが、バッシングのどさくさに紛れてTSUTAYA図書館になすりつけられていることが、見ていてあまり気持ちのいいものではないと言いたいだけなのだ。
例えば、選書の偏りだ。
ニーズがあると思えないような本を並べて、貴重な郷土資料を廃棄するなどCCCの選書がダメダメなのは間違いないが、じゃあ「TSUTAYA図書館以前」が比べものにならない素晴らしい選書を行ってきたのかというと首を傾げざるをえない。
例えば、武雄市図書館をCCCに任せようという話になったのは、前市長が市立図書館に「読みたい本がない」と偏りを指摘したことがきっかけだ。民間委託前、この図書館では司書の資格を持つ正規または嘱託の職員約10人が、「図書館流通センター」が発行する新刊図書案内のカタログを参考に年間1200万円を使って購入図書を選んでいたという。要するに、10人の「図書館のプロ」たちの選書に対して、前市長がいかがなものかという指摘をしたわけだ。
そんなもん「素人」の前市長が間違っているに決まっていると思うかもしれないが、「図書館のプロ」が常に正しいのかというと、それも微妙だ。
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