うつ病増加に労働人口減 日本の社会問題を「健康経営」は救えるか?:民間大手や自治体などが相次ぎ参入(1/3 ページ)
ストレスチェックの義務化が始まるなど、社員のメンタルヘルス対策は日本企業にとって喫緊かつ重要な課題になっている。そうした中、社員の健康促進こそが経営力アップに繋がるという考え方がここへきて強まってきているという。
いつまでも健康でありたい、常に生き生きと仕事をしていたい――。そう思っている働き盛りのビジネスパーソンは多いはずだ。しかし、年齢とともに体力が低下し、さらには仕事のプレッシャーが増すにつれて、心身ともに疲弊してしまう……。そんな悲鳴を耳にすることも増えた気がする。
実際、そうした状況を裏付けるデータも発表されている。厚生労働省によると、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害(うつ病、適応障害、自律神経失調症など)の労災補償請求件数は、2014年度に過去最大となる1456件に上った。心身不調による休職、離職者も増え続けているという。
その背景にあるのが、1つには、少子化による労働人口の減少によって、一人当たりの業務負荷が昔と比べて格段に高まっているということがある。今後も労働人口の減少は深刻で、2012年に労働人口全体で6628万人だったのが、2030年には6180万人にまで減ると予測されている。
一方で、それに伴い、企業での定年が延長されるなど高齢者の労働人口比率が上がっている。当然のように高齢の社員は健康に対するリスクが若手社員より高いため、それに向けた対策も企業には求められるようになる。これが今の日本の現状なのだ。
このような問題が顕在化したこともあり、厚生省では、2015年12月1日から「ストレスチェックの義務化」を施行した。これは従業員50人以上の全ての会社に適用で、一次予防を目的としたメンタルヘルス施策、全従業員へのストレスチェックの年1回以上の実施、産業医による面談などが主な内容である。
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