本を読む人は何を手にするのか 日本に“階級社会”がやってくる:水曜インタビュー劇場(藤原和博さん)(2/5 ページ)
「これからの日本は『本を読む習慣がある人』と『そうでない人』の“階層社会”がやってくる」という人がいる。リクルートでフェローとして活躍され、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんだ。その言葉の真意はどこにあるのか。話を聞いた。
読書をする人と、しない人
藤原: ドイさんはパチンコをされますか?
土肥: いえ。大学生のころはちょっとやっていましたが……。
藤原: それはよかった。時間を持て余している学生がちょっとやっている程度であれば問題ないですが、ビジネスパーソンが日常的にやっているようではダメ。パチンコをする人と、しない人の決定的な違いは、時間をマネジメントする発想があるかないか。パチンコは非生産的な行為とも言えるので、中毒になっているようでは、時間に対するマネジメント能力があるとは思えないんですよね。
では、スマートフォンでゲームをされますか?
土肥: いえ。ゲームは苦手でして。
藤原: それもよかった。時間のあるときに息抜き程度に遊ぶのであれば問題ないと思うのですが、通勤電車の中でやったり、家でやったり……四六時中やっているようではダメ。パチンコと同様に、時間に対するマネジメント能力が欠けているのではないでしょうか。
もちろんパチンコにしろ、ゲームにしろ、それを仕事にしている人はやってもいいですよ。例えば、パチンコ台を設計している人はパンチコをすることが仕事の一部ですし、ゲームを開発している人たちはゲームをしなければいいアイデアが浮かばないでしょう。しかし、そうした仕事をしていないのにもかかわらず、パチンコやゲームばかりしているようでは、現実から逃避するために膨大な時間を無駄にしているだけ。
土肥: 逆にいうと、仕事や自己啓発などに費やす時間を削ってしまっているという意味ですか?
藤原: そうです。現在の「成熟社会」では教養が大切になってくるので、読書をする人と、しない人の間には大きなが差が生まれてくるのではないでしょうか。いま「読書」と言いましたが、ここでは「読書=本」だけでなく、「電子書籍」も含みます。
少し話がそれてしまいましたが、1時間当たりにどのくらい稼ぐのかを見てみると、飲食店や小売店のアルバイト(パート)は、だいたい800〜1000円ほど。ビジネスパーソンの年収を年間総労働時間で割ってみると、だいたい2000〜5000円。では、一般的に年収が高いと言われている弁護士や外資系のコンサルタントのようなエキスパートはどのくらいもらっているのか。弁護士で3万円ほど、マッキンゼーのシニアコンサルタントで8万円ほどもらっています。
個人的な話ですが、弁護士、コンサルタント、医者――年収が高いエキスパートで本を読まない人に会ったことがないんですよね。なぜ彼らは本を読むのか。顧客(医者でいえば患者)の期待に応えるためには、最新の情報がなければダメだからです。
土肥: つまり、本を読まなければ仕事ができない?
藤原: ですね。
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