本を読む人は何を手にするのか 日本に“階級社会”がやってくる:水曜インタビュー劇場(藤原和博さん)(5/5 ページ)
「これからの日本は『本を読む習慣がある人』と『そうでない人』の“階層社会”がやってくる」という人がいる。リクルートでフェローとして活躍され、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんだ。その言葉の真意はどこにあるのか。話を聞いた。
本を読めば「みかた」が増える
土肥: ビジネスパーソンは、やはりビジネス書を読むべき?
藤原: 自分の仕事に役立つ本は読むべき。でも、それだけではいけません。自分が苦手な分野、これまで全く興味をもたなかった分野にも目を向ける方がいいでしょう。簡単に言えば「乱読」です。思いがけない発見や奇跡的な遭遇をするためには、やはり乱読しかないんですよね。
先ほど、本を読むことによって作家の「脳のかけら」を自分の脳につなげることができる、といった話をしましたが、これは言いかえれば「みかた」を増やすことでもあるんです。
土肥: どういう意味でしょうか?
藤原: みかたには2つの意味があって、1つは「見方」を広げ、増やすこと。他人の脳のかけらと自分の脳をつなげることで、物事の見方を広げることができます。その結果、怪しい情報にだまされにくくなって、決断をするときも選択肢が増えることに。
土肥: リスクを分散することができるわけですね。
藤原: はい。もう1つは「味方」を増やすこと。多くの著者の脳のかけらを自分の脳につなげることができれば、見方が広がる。そうすると、さまざまな人(脳)との交流も広がり、さらに関係が深くなります。他人と世界観を共有でき、共通点を発見できるので、周囲からの信頼と共感、つまりクレジットが増す。そうすることで、味方が増えていくんですね。
結果的に、本を読む人と、そうでない人の間には「大きなクレジットの差」が生まれ、その差はどんどん広がっていくのではないでしょうか。
(終わり)
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