おでんの「大根」が一番おいしいのは? ローソンがとにかく面白い:新連載・ノッている会社は、ここまでやっている!(6/6 ページ)
消費構造の変化、情報化の進展、かつてないグローバル化……。ますますビジネスが難しさを増す中、ユーザーから変わらぬ高い支持を得ている企業は一体何をしているのか。5社の取り組みを紹介する。第1回はローソン。
“新しいコンビニ”づくり
ローソンのチャレンジは、商品軸だけではとどまらない。これまでのコンビニの枠組みを超えた発想で新しい業態開発も進めているのだ。例えば「ヘルスケアローソン」。2015年1月、ドラッグストア業界大手との業務提携が発表され、話題になった。
高齢化が進み、遠くにはもう買い物に行けない、という消費者が地方都市を中心に増えている。スーパーもドラッグストアも、郊外型が多い。しかも、近所の薬屋はもう廃業している。薬も化粧品も日用雑貨も年中無休で24時間買える店が、歩いて行ける場所にあったら……。発想の原点は、わざわざ来てもらうのではなく、こちらから顧客に近づいていくことで利便性を高めよう、というものだった。
ヘルスケアローソンは、2013年に実験店舗をオープンさせており、手応えをつかんでいた。通常のローソンは40坪に商品数が2800品目ほどだが、こちらは80坪に約6000。生活に必要な品物を豊富にそろえた。すると、主婦、年配者、赤ちゃん連れが増え、1日当たり来店数が200人も増えた。日販は20万円もアップ。女性の構成比が上がったことで、客単価も上がった。2020年には、ヘルスケアローソンを600店にしたいという。
介護事業者と提携し、2015年4月には、ローソン店内に介護相談窓口が作られた「ケア(介護)ローソン」もオープン。自治体の窓口や介護事業者のオフィスに行くことなく、近くのコンビニに介護の相談窓口があれば、もっと気軽にいろんな話ができる、という発想だ。介護相談のほか、コミュニティーの場、健康関連情報、宅配関連商品、生活サポート用品、介護用品の扱いなど、多くの機能を果たそうという狙いがある。従来のコンビニの枠を、はるかに超えた発想の店舗なのだ。
これらはローソンの挑戦のほんの一部にすぎない。世の中の変化をいち早く捉え、ローソンが打ち出してきた“新しいコンビニ”づくりは、すでにここまで来ている。そして、さらなる新たなチャレンジが、今も着々と準備されている。
プロフィール:上阪徹(うえさか・とおる)
1966年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学商学部卒業後、リクルート・グループなどを経てフリーランスのライターとして独立。最前線のビジネス現場から、トップランナーたちの仕事論を分かりやすく伝えるインタビューを得意とする。雑誌や書籍などで執筆するほか、取材で書き上げるブックライター作品も70冊以上に。取材相手は3000人を超える。
著書に『なぜ今ローソンが「とにかく面白い」のか?』『「胸キュン」で100億円〜恋愛ゲームで世界一。上場企業ボルテージのヒットのマニュアルとは?』『なぜ気づいたらドトールを選んでしまうのか?』『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』『成功者3000人の言葉 人生をひらく99の基本』『職業、ブックライター。』『明日からやる気がでる 星空名言集』など。
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