「バイトテロ」「バカッター」が存在する、3つの背景:新連載・炎上の火種(2/5 ページ)
「バイトテロ」「バカッター」は、2013年ごろから全国的に多発している。その後、企業のさまざまな取り組みによって減少したものの、一向になくなる気配を見せない。その背景に何があるのか。
(2)リテラシーの不足
これは(1)にも関連することだが、スマートフォンやSNSの急速な普及の一方で、その反動としてユーザーのリテラシーが追いついていない現状がある。バイトテロやバカッターで炎上を起こす人は大半が社会人経験の少ない若者だ。彼らはスマートフォンやSNSを使いこなすリテラシーは高いものの、リスクマネジメントに対するリテラシーが低く、自身の投稿が他人にどのように捉えられるのか、その結果どういう問題を引き起こしかねないのか、などの想像ができない。
一方で、社会常識やリスクマネジメントに対するリテラシーを持ち合わせている大人は若者ほどスマートフォンやSNSを使いこなせないため、教えることができない。
(3)ネット炎上の大衆化
「炎上」というものが出始めたころは、炎上を起こすのも、それを批判、拡散するのも、著名人やインターネットのヘビーユーザー層が中心だった。ところが、ネット炎上件数が増加し、炎上というものが大衆化したことで、これまでただの傍観者であったライトユーザーも、炎上につながりそうな問題投稿を探して広めたり、拡散に加担することに慣れるようになった。
炎上にはタイムラグというものがあり、火種となる問題投稿があってから発見・拡散されるまでに通常、一定の時間があくことが多い。その間に対処をすれば炎上を防ぐことができ、6カ月以上空いたケースも少なくなかった。しかし、このようにネット炎上が大衆化したことで、タイムラグの間隔が短くなっているのだ。
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