滝川一益と真田昌幸は似たもの同士だった?:新連載・「真田丸」を100倍楽しむ小話
歴ドル・小日向えりさんとともにNHK大河ドラマ「真田丸」にまつわる小ネタなどを紹介して、もっとドラマを楽しめるようにする新コーナー。第1回は滝川一益についてお話します(いきなりシブい!?)。
編集部F: このコーナーでは、NHKの大河ドラマ「真田丸」に登場する人物、あるいは名シーンなどを取り上げて、読者の皆さんがよりドラマを楽しめるような情報や小ネタをお伝えしたいと思います。ということで、お相手は歴ドルの草分け的存在であり、信州上田観光大使を務める小日向えりさんです。どうぞ宜しくお願いします。
小日向: 宜しくお願いします!
編集部F: それにしても、真田丸は人気ですね。関東地区の平均視聴率が初回は19.9%、第2回が20.1%と大河ドラマで3年ぶりの20%超え。そこから数字上は苦戦が続きましたが、先週は17.4%と持ち直しました。私も毎年大河ドラマはチェックしていますが、久々に毎週楽しんで観ています。歴史にほとんど興味のないうちの奥さんも熱心に観るほどです(笑)。
小日向: 先週(2月21日放送)も手に汗握る展開でしたね。北条氏政と滝川一益が争う最中に、真田昌幸が沼田城と岩櫃(いわびつ)城を奪還。その後、それが一益にばれて怒りを買うという……。
ちなみに、史実では正式な形で2つの城は一益から昌幸に返還されています。また、ドラマの中では微妙な描かれ方でしたが、一益と昌幸は通じる点があって、実はお互いに強いきずながあったのではとされているんですよ。
編集部F: 共通点といいますと?
小日向: 二人とも「調略」が得意なんです。一益といえば、数々の戦で敵を調略して名を上げてきた武将です。その代表例が伊勢攻略です。織田信長が伊勢国に進攻した際、その国司だった北畠具教の弟である木造具政を織田方に寝返らせて、合戦を優位に進めました。その陰の立役者が一益でした。そのほかにも、荒木村重が信長に謀反を起こした後の有岡城の戦いや、羽柴秀吉と徳川家康が対峙した小牧・長久手の戦いなど、さまざまな場面で活躍しました。「進むも滝川、退くも滝川」と呼ばれたほどの戦術家だったのです。
編集部F: 一益といえば、甲賀出身で忍者だったという伝説もありますよね。そのあたりも真田に通じる点かもしれません。
小日向: 昌幸と一益の信頼関係を物語るエピソードがあります。先週の放送で、北条との一戦で大敗した一益が伊勢に落ち延びる場面がありましたが、この信濃からの脱出を昌幸が助けていたのです。
その恩義に報いるべく、後に一益の孫である滝川一積は正室に昌幸の五女・趙州院殿を迎えるとともに、大坂の陣で討ち死にした真田幸村(信繁)の娘を養女にしました。ここからも両家の結び付きの強さをうかがいしることができます。
でも、一益は実に悲運の武将なんですよ……。かつては「織田四天王」として、柴田勝家、丹羽長秀、秀吉とともに信長から重用され、関東管領の地位まで上り詰めたほどの人物でした。ところが、本能寺の変によって順調だったキャリアが崩れ去りました。ライバルの秀吉に出し抜かれ、その後、秀吉と対立する勝家に与するも、賤ヶ岳の戦いで勝家が敗れたことで、所領を全て没収されました。織田家を代表する有能な武将だったのに、晩年は没落してしまったことに深く同情します。
編集部F: なるほど、段田安則さん演じる一益は、ドラマの中でもどことなく切なさがにじみ出ていた気がします。今後の登場を温かく見守りたいですね。
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