マスコミ報道を萎縮させているのは「権力」ではなく「中立公平」という病:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
総務大臣が公平性を欠く放送を繰り返した放送局の電波停止に言及したことについて、ジャーナリスト6人が「発言は、憲法や放送法の精神に反している」などと声明を発表。西側諸国のジャーナリズムは「政治的中立性」といったスローガンを放棄しているのに、なぜ日本は支配されているのか。
スピン経済の歩き方:
日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。
そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」を紐解いていきたい。
少し前、田原総一朗さん、岸井成格さんなど著名ジャーナリスト6人がズラリと並んだ画像を用いた「クソコラグランプリ」がネットで話題となったのをご存じだろうか。
高市早苗総務大臣が、放送局が政治的公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、放送法4条違反を理由に電波停止を命じる可能性について言及したことを受けて、報道が萎縮すると抗議を行った際にみなさんが掲げた「私たちは怒っています!」と垂れ幕の文字を入れ替えて、くだらない画像にするという不謹慎極まりない悪ふざけだ。
「安倍政権の暴走を止めるため立ち上がった方たちを茶化すなんて」と不快に思われる方も多いだろうが、あまりに話題になったのでちょっと覗(のぞ)いてみたら、これがなかなかよくできていて、なかには問題の本質を突くようなクソコラがあった。
それが、6人が掲げる垂れ幕に「偏向報道許せ!」という文字がのっけられたものだ。
そう聞くと、「ははあん、さてはこいつはネトウヨ的な思考のライターなのだな」と思われるかもしれないが、そういうマスゴミ批判的なお話ではない。ジャーナリストのみなさんが懸念されている「報道の萎縮」というものを根本的に解決するには、ぶっちゃけこういうカミングアウトが必要だと考えているのだ。
いや、皮肉とかではない。大真面目な話である。
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