コンビニバイトもブラック化する? 「最大28分タダ働き」のカラクリ:コンビニ探偵! 調査報告書(1/3 ページ)
先日、コンビニでバイトをしている高校生に未払いの賃金が支払われることになったという報道があった。賃金が未払いになった原因は何だったのか。今回は、社会問題になったブラックバイトの現状と原因について取り上げる。
コンビニ探偵! 調査報告書:
「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」……だけど、タフであり続けることも、優しくあり続けることも、簡単ではない。
ほとんどの人が一度は利用したことがある「コンビニ」。ニュースやデータからコンビニで何が起きているのかを、推理して、調査して報告します。筆者は大手コンビニの元本部社員、元コンビニオーナー。コンビニの表と裏を見てきた者だけにしか書けないコラムはいかがですか?
昨今、ブラック企業やブラックアルバイトなど、過酷な労働体制や環境が社会問題となっている。ただ、労働者からの声は挙がるものの、経営者側から話が出ることはあまりないように思う。「言えばボロが出る」「言い訳がましくなる」ということから、雇用者側は口をつぐんでいるだけなのかもしれない。
筆者も、かつてはコンビニでアルバイトをたくさん雇ってきた身。裏の事情に関する発言は控えたいところだが、現在は従業員を抱えていない立場から、ブラックなバイト環境(以下、ブラックバイト)について書いていきたい。
「最大28分タダ働き」のカラクリ
先日、埼玉の高校生がアルバイトとして働くコンビニの労働環境に疑問を抱き声を上げたことで、未払い賃金が支払われることになったという報道があった。この問題の焦点となったのは、15分に満たない労働時間を切り捨てて計算していたために未払い賃金が生じたというものだ。
これは一体どういうことなのか。以下の図をもとに、具体的に説明しよう。
例えば、9時〜14時のシフトで働くアルバイトがいるとする。15分単位での給与計算を前提とし、15分未満は切り捨てとする。
この場合、厳密には9時にタイムカードを押せば問題ないのだが、引き継ぎや準備のために「15分前には店に来ていること」という独自のルールを設けている店は少なくない。
ということは、アルバイトは14分前の8時46分にタイムカードを押さなくてはならず、14分間を無給で働くことになる。同様に、退勤時も引き継ぎと称して14分の無給労働時間が発生する。「15分未満は切り捨て」という給与計算方法のため、オーナーはシフトの前後合わせて最大28分間、無給で労働力が確保できるという仕組みだ。
ただ、今回のケースは裁判所の決定ではないので、15分未満の切り捨てについての違法性が示されたわけではない。労働基準法にも、1分単位で給与の計算をしなくてはならないという記載はない。筆者は法律の専門家ではないので、給与計算の時間単位についての結論は出せないが、今回は「和解」という形が取られたことで今後の給与計算基準に少なからず影響はあるだろうと思っている。
なお、ブラックバイトの定義については「ブラック企業対策プロジェクト」に分かりやすくまとめてあるので参考にしていただきたい。
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