清原被告の“復帰”は難しい、これだけの理由:赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)
プロ野球界の“元番長”に審判が下った。覚せい剤取締法違反の罪に問われていた清原被告は、国側の手助けを受けることなく、今後は自力で更生の道を歩むことになった。しかし、本人が望んでいるプロ野球界に復帰することはできるのだろうか。
臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:
国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
プロ野球界の“元番長”に審判が下った。覚せい剤取締法違反の罪に問われている元プロ野球選手・清原和博被告に対し、東京地裁は5月31日、懲役2年6カ月、執行猶予4年(求刑懲役2年6カ月)の有罪判決を言い渡した。保護観察については弁護側が求めていたものの、認められなかったことから国側の手助けを受けることなく今後は自力で更生の道を歩む形になった。
吉戒純一裁判官は「プロ野球界を代表する打者として活躍し、それによって社会的貢献もしてきた。犯情(犯罪に至るまでの事情)は悪質だが、事件が大きく報道されたことにより、社会的制裁は受けている」と判決の理由を述べた。一方で閉廷した後に清原被告は、傍聴席に「このたびは申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げた。
予想できたこととはいえ執行猶予付きになった点は今後更生し、社会復帰を果たす上で清原被告にとってはプラス材料だろう。しかしながら指導者としてのプロ野球界復帰に関してはイバラの道が待ち受けていると言わざるを得ない。覚せい剤で「前科者」となった事実はもう消せないからだ。
過去に覚せい剤所持で現行犯逮捕され、収監された元プロ野球選手の江夏豊氏は多くの人からのバックアップと本人の強い意志によって更生し、各メディアで野球解説者やタレント活動を再び行うようになり、社会的信用を取り戻した。2015年の阪神タイガース・春季キャンプでは一軍の臨時コーチ、今年春も二軍で同職に就いている。このケースは確かに稀有(けう)な例ながらも「清原被告も江夏氏のように更生し、プロ野球界に復帰できるのではないか」と見る向きもある。
だが清原被告は江夏氏と違い、復帰の道を歩むために必要となる人脈をプロ野球界で築き上げていない。法廷での弁護には横浜ベイスターズ、シアトル・マリナーズで活躍した元プロ野球選手の佐々木主浩氏が弁護に立ったが、清原被告の将来を心底気にかけて実際に救いの手を差し伸べようとしているのは佐々木氏を除いて皆無に等しい。どうして、そうなってしまったのか。清原被告のことを西武時代の新人当時から深く知るプロ野球球団の元コーチは次のように指摘する。
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