三菱東京UFJ銀行が、もう国債を買わないって本当?:マネーの達人(1/5 ページ)
三菱東京UFJ銀行が「国債市場特別参加者資格」を国に返上しました。今回はその資格と、それを返上することで国債に与える影響についてお話しします。
三菱東京UFJ銀行が、「国債市場特別参加者資格」を国に返上するそうです。しかし、これで三菱東京UFJ銀行が国債を買わないというわけではありません。
普通資格者として、国債入札には参加します。国債はこれからも引き受けます。
「国債市場特別参加者資格」とは
まずは言葉の解説です。特別参加者資格とは、何なのでしょう。
特別参加者には国債入札に当たって発行予定額の4%以上の応札、1%以上で落札をしなければならないという義務があります。つまり、「必ず毎回これくらいは国債を買いなさいよ」ということです。
では、義務を果たすことで得られるメリットにはどういうものがあるかというと、財務省の人たちと会合を開くことができたり、国債を引き受けたら財務省のお役人方とお話ができたりします。財務省との会合に参加して意見交換することで、ときにはインサイダー情報も得ることができるのでしょう。買い入れ消却入札への参加、流動性供給入札への参加などが認められるメリットもあります。
現在の特別資格は22社が有し(当初は25社だった)、うち19社が内外の証券会社で銀行は3大メガバンクの三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行だけです。国債入札自体は、特別資格がなくても誰でも(個人でも)参加できます。ある意味、メガバンクとしてのステイタスという側面もあるでしょうし、銀行や証券会社の自らの顧客に対しても、特別資格を持っていることは有利になることもあるのかもしれません。
今回の情報は、この特別参加者資格を返上するということです。三菱東京UFJ銀行として、国債を買わないということではありません。
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