セブンのドミナント戦略が、沖縄では通用しない理由:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
セブン-イレブンが2〜3年以内に沖縄へ出店するという。沖縄は“空白の地”なので、地元住民にとっては待ちに待った出店だろう。しかし、である。筆者の窪田氏によると、セブンにはイバラの道が待っているという。なぜなら……。
「流通の巨人」としてのプライド
セブン&アイ・ホールディングスはグループの方向性として、「チェーンオペレーションからの脱却」を掲げている。従来の中央集権型の大量仕入れ、本部主導の運営から、地域や個店ごとにMD(マーチャンダイジング)を考えるスタイルに移行していくというのだ。
ただ、セブンでは提携は行っていても、エリアフランチャイズという手法はこれまでやってこなかった。どこかの地元企業と組んで「沖縄セブン」や「琉球セブン」という合同会社を設立するイメージも正直あまり浮かばないのだ。
さらに言えば、これまで進めてきた「オムニチャネル戦略」との親和性も難しいし、「流通の巨人」としてのプライドもある。業界のみならず、大手マスコミさえも「忖度(そんたく)」をするあの「セブン-イレブン様」が一地方企業に頭を下げてへいこらするだろうか。しないな、たぶん。
いずれにしても、「沖縄」がこれまでセブンが勢力を広げてきた46都道府県とまったく異なる特殊な市場であることは間違いないだろう。
本土の王者といえども、ここでは単なる挑戦者だ。ここはぜひおかしなプライドはかなぐり捨てて、南国の王者たちにがむしゃらに立ち向かっていただきたい。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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