仕事ができる人は、なぜ上司から「やり直し!」と言われないのか:結果を出す“下ごしらえ”(5/5 ページ)
上司から資料作成を頼まれたので残業をして仕上げたのに、「やり直し!」と言われたことがある人もいるのでは。一方、仕事ができる人は、そのようなことを言われない。なぜか。筆者の上阪徹氏は取材をしていく中で、あるキーワードが浮かんできた。それは……。
小さな気遣いが「違い」を生む
そしてもう1つ、本当のターゲットがしっかり意識できていれば、仕事に差が生まれる。細やかに仕事相手のことを見られるようになるからだ。
こんなことを語っていた秘書の女性がいた。彼女は会議資料ひとつとっても、必ずターゲットを意識していた。
目的はもちろん、誰が出席者になるのかも理解しておく。そうすると、準備しておかなければいけないことがイメージできる。例えば、社長クラスの集まりと、会長クラスの集まりでは、資料づくりを変えるという。
何が違うのか。例えば文字の大きさ。社長世代なら60代も多いが、会長世代となると70代。視力の衰えを考えると、文字はできるだけ大きいほうがいいわけだ。
小さなことである。しかし、これだけでも受け取る側はストレスがなくなる。分かる人には、間違いなく評価される。こういうところで、評価の差は生まれているのだ。
小さな気遣いひとつが、「違い」を生む。それは「ターゲット」への意識が大きなヒントになる。
プロフィール:上阪徹(うえさか・とおる)
1966年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学商学部卒業後、リクルート・グループなどを経てフリーランスのライターとして独立。最前線のビジネス現場から、トップランナーたちの仕事論を分かりやすく伝えるインタビューを得意とする。雑誌や書籍などで執筆するほか、取材で書き上げるブックライター作品も70冊以上に。取材相手は3000人を超える。
著書に『やり直し・差し戻しをなくす できる人の準備力』(すばる舎)『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』『なぜ気づいたらドトールを選んでしまうのか?』『なぜ今ローソンが「とにかく面白い」のか?』『成功者3000人の言葉 人生をひらく99の基本』『職業、ブックライター。』など。
関連記事
- 仕事は“コピー取り”でも、なぜあの人は「次のチャンス」を手にするのか
上司から残業を命じられて、昨日は終電で帰ったのに「この書類じゃダメだ。やり直し!」といった経験をしたことがある人もいるのでは。言われた通りにやっているはずなのに、なぜかなかなかOKがでない。こうした人はどこに問題があるのか。 - なぜ給料が二極化するのか? 年収200万円と800万円の人
景気低迷の影響を受け、給料は下がり続けている――。そんなビジネスパーソンも少なくないだろう。では、今後10年間はどうなのか。リクルートで働き、中学校の校長を務めた藤原和博さんに「10年後の給料」を予測してもらった。 - 競合店ができても、ドトールの売り上げがあっさり元に戻るワケ
コーヒー業界が熾烈な競争を極めている。喫茶店、ファミリーレストラン、コーヒーチェーン、コンビニ、サードウェーブなど、さまざまな業界が参入しているが、そんな中で堅調な売り上げを伸ばしているコーヒーチェーンがある。ドトールだ。 - あなたは大丈夫? 10〜20年後、人工知能に奪われる仕事100
人工知能によってあなたの仕事が奪われるかもしれない――。このような不安を感じている人も多いのでは。ある調査によると「労働人口の49%が人工知能などによって奪われる」という結果がでたが、この数字をどのように受け止めればいいのか。 - リクルートの最年少役員は何を考え、どんな仕事をしてきたのか
リクルートに入社して13年目……36歳の若さで執行役員に任命された、出木場久征氏。彼は何を考え、どんな仕事をしてきたのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.