「マルちゃん ハイラーメン」が静岡だけで50年以上も売られているワケ:スピン経済の歩き方(2/5 ページ)
静岡県で発売されている「マルちゃん ハイラーメン」をご存じだろうか。発売は1962年。新商品はたくさん発売されているのに、なぜハイラーメンは静岡県だけで生き残ることができたのだろうか。
なぜ静岡だけで売っているのか
まず考えられるのは、静岡県民が「ハイラーメン」が好きでたまらないという、『秘密のケンミンSHOW』でいうところの「ケンミングルメ」だという可能性だ。確かに、かの地には、「富士宮焼きそば」なんかもあるわけなので麺類好きがたくさんいそうなイメージがある。
実際に今から14年前の『毎日新聞』(2002年9月1日)は、「ハイラーメン」が売れ続けている静岡について「即席めんとの関係は古く、強い」と評し、その理由として「有名なラーメン街などがない」「農漁業が盛んな地域は、繁忙期もすぐ食べられるためインスタントが売れる」などを挙げていた。
ただ、47都道府県の中にはラーメン文化がない地域など山ほどある。農漁業が盛んな地域もしかりであるし、仮に「即席めん文化」があるにしても、数多くの新製品がある中で「ハイラーメン」が追いやられないことの説明になっていない。
また、2012年〜2014年の総務省家計調査の平均値を抽出した方のランキングを見ると、静岡は東京、沖縄に次いで即席めんの消費量が少ない。(「都道府県別統計とランキングで見る県民性」より)
消費量だけで「人気」を推し量ることはできないが、さすがにワースト3の地域で50年以上も同じ商品が支持されるのには特別な理由がなくてはならない。事実、静岡よりも即席めんを消費している44の地域では、「ハイラーメン」は消え去っているのだ。
悩んだところでラチがあかないので、製造元の東洋水産に聞いてみることに。
取材を申し込むほどの話でもないので、お客様相談室に電話をかけて質問をしたところ、こちらが恐縮するほど丁寧に、理由を教えてくれた。
担当者の方曰く、静岡だけで「ハイラーメン」が売れ続けているのは、東洋水産の創業者が、静岡の出身者だということで、創業当時から長いお付き合いをしているお店や業者が県内に多くあり、いまだに置いてくれているというのだ。
「そんな理由?」と思う方もいるかもしれないが、個人的にはこれを聞いて妙に納得した。東洋水産の創業者・森和夫氏は業界内外に広く「ファン」がいることで知られているからだ。
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