東京五輪に襲いかかる「ドーピング丸投げ裁定」のツケ:赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)
国家ぐるみのドーピング隠ぺい問題で、ロシアのスポーツ界が揺れている。リオ五輪の出場については、各国際競技団体がその条件を満たしているかどうかを判断することになった。大会前にドタバタぶりを繰り広げているが、問題を先送りにすれば4年後の東京五輪にも影響が及ぶかもしれない。
五輪の商品価値が大きく下がるかも
長い五輪の歴史を振り返ってみても、これほどドーピングショックに揺れ動いた大会はない。国家ぐるみのドーピング関与が発覚したロシアをこのまま玉虫色の処置で同国選手のリオ五輪参加を限定的に認めれば、そのしらけたムードは今後の大会にまで悪影響を及ぼす危険性も十分に出てくる。もちろん次回、2020年の東京五輪も対岸の火事ではない。日本オリンピック委員会(JOC)の関係者は次のように本音を打ち明け、眉をひそめる。
「仮に今度のリオで出場が認められたロシアの選手たちが多くの競技で金メダルを手にすれば『ドーピングの力を借りて栄光をつかんだ』とうがった見方をする人も当然多数出てくる。つまり、いくら本当にクリーンであっても今回のリオについてはドーピング問題で揺れ動くロシアの選手が活躍すればするほど五輪のイメージは悪くなり、ひいては五輪の商品価値も大きく下がるのではないかと不安視する人も有識者の中にはいる。
そうなると2020年の東京五輪もIOCや関連企業はスポンサーが集まりにくくなったり、契約料も大幅に値下げせざるを得なくなったりして広告集めに四苦八苦する最悪の流れになるかもしれない。いろいろな意味で経済にも影響が出るだろう。2020年の五輪景気をリオ五輪終了直後から長いスパンで見込んでいる日本政府としても、こうなったら間違いなく大きな痛手となる」
IOCがロシアのリオ五輪参加を限定的に容認したことで、今回のドーピングスキャンダルからの出口は残念ながら先が見え辛くなってしまった。そして、もし「ドーピング」と「五輪」の切り離しが完ぺきにできず2020年を迎えれば、JOCや政府関係者、有識者らの誰もが成功を信じて疑わなかった東京五輪にダーティーなイメージが漂うことによって「失敗」の2文字もチラついてくる。
関連記事
- “ハンカチ王子”斎藤佑樹の人気はなぜ凋落したのか
かつて“ハンカチ王子”として脚光を浴びた日本ハム・斎藤佑樹投手の人気が凋落している。成績がパッとしないから仕方がない部分もあるが、なぜKYな言動を繰り返すのか。その裏にあるのは……。 - なぜ斎藤佑樹は“おねだり王子”になったのか
『週刊文春』で斎藤佑樹投手の醜聞が報じられ、大きな波紋を呼んでいる。同誌によると、ベースボール・マガジン社の社長に斎藤がクルマを“おねだり”したようだが、一流とは言えない選手とメディアがなぜこのような癒着をするのか。 - 何が起きていたのか? 清原和博容疑者が古巣・巨人を「震撼」させていた
元プロ野球選手・清原和博容疑者が覚醒剤所持容疑で逮捕されたが、その衝撃はいまだ沈静化していない。新たな疑惑がたくさん浮上してきているからだ。その中の1つ……。 - 野球評論家の張本勲氏は、なぜ失言を繰り返すのか
人気情報番組『サンデーモーニング』に出演している野球評論家・張本勲氏のコメントが、ネット上でしばしば“炎上”する。現役時代の張本氏は偉大な選手だったのに、なぜ失言を繰り返すのか。スポーツライターの臼北氏が分析したところ……。 - 重くなったのに、なぜ軽く感じるのか 売り子が背負うビールサーバー
野球場などでキャストと呼ばれている“売り子”が生ビールを販売している。彼女たちが背負っているサーバーは重いので、アサヒビールとデサントは共同で新しいモノを開発。さざかし「軽く」なったんだろうと思っていたら、実は「重く」なっていた。えっ、どうして……?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.