「イチローは絶対に手放したくない」 絶賛の声が続々:赤坂8丁目発 スポーツ246(4/4 ページ)
マーリンズのイチロー選手が歴史的偉業を達成した。史上30人目となるメジャー通算3000本安打を達成したわけだが、周囲の人間はイチローのことをどのように見ているのか。チーム関係者からは「絶対に手放したくない」という声も。
「生涯マーリンズ」もほぼ確約
それを証明するかのようにチーム編成の責任者であるマイケル・ヒルGMはイチローのグラウンド以外の貢献度についても次のように高く評価している。
「選手の誰もがイチローのことを見ている。球場にいち早くやって来て、黙々と汗を流す。そして試合に備える。イチローにとっては当たり前のルーチンワークかもしれないが、若い選手にとってはそのすべてが模範的な行動になる。
多くのメジャーリーガーが『イチローのようになりたい』と思っているわけで、その本物がチームの中にいるということは所属選手たちにとってこれ以上ない有益なプラス要素だ。だからイチローはプレー以外の面でもチームを間違いなく大きく変えてくれている」
そう評価するヒルGM(昨季は編成本部長)の意向を汲んでマーリンズ側がイチローの代理人を務めるジョン・ボッグス氏に、昨年秋の契約更新の時点で「我々としては、いたいだけいてほしいと思っている」と異例の“終身雇用案”として内々に伝えたと報じるメディアも一部にあった。
イチローも今のマーリンズでプレーする環境をとても気に入っているようだ。常時スタメンでの保障はなく、どうしても代打起用が多くなる状況下ではあるものの、そういう難しいスタンスを強いられることを差し引いても若いチームメートたちからリスペクトされ、そして打ち解け合う境遇に喜びを感じている。
今季からチームを指揮するドン・マッティングリー監督もニヤリと笑いながら、こう補足する。
「イチローは若い選手たちに何かを押し付けるのではなく、自分のプレーや言動によって周りを引きつけていくタイプ。そういう彼に選手たちは強い共感を覚えている。そういう意味でもマーリンズがすごくフィットしているのだろう。
彼は試合だけでなく練習でもクラブハウスでも生き生きとしているし、それによってチームにもかけがえのない良い影響を与えてくれている。(『チームにいてほしいか』の問いに)当然だよ。こんな偉大なレジェンドを誰が手放すのかい?」
これほどまでにメジャーリーグからリスペクトされる日本人選手は二度と出てこないかもしれない。「生涯マーリンズ」もほぼ確約され、今年10月には43歳となるイチローの今後の戦いにもまだまだ注目し続けたい。
臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:
国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
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