女子マラソンで惨敗した福士加代子の発言は、本当に「KY」なのか:赤坂8丁目発 スポーツ246(4/4 ページ)
リオ五輪が盛り上がっている。特に女子マラソンの視聴率は22.6%(関東地区)を記録するなど、多くの人が注目した。にもかかわらず、日本の3選手は惨敗。中でも、14位に終わった福士加代子の発言が、物議を醸している。
素顔は不器用かつストイック
2007年の香川丸亀ハーフマラソンに出場したときだったと記憶している。当時、福士は筆者に「なるべくならばレースが終わったら笑顔でいたい。必死になって走った後、同じように辛い顔をしていたら周りも自分も暗くなってしまう。それは嫌でしょ。だからそれが自分のスタイル。非常に不器用なのかもしれないですが……」と言ったことがある。その言葉は今も頭の中にこびりついている。
だから毎回レース後に飛び出すおちゃめな発言(今回のリオ五輪では“KY発言”と多くの人から受け止められているが)も、そしてあえて貫き通す笑顔も不器用だからこそ揺れ動く内面や本心を周囲に見せまいとするための“仮面”にしているのではないだろうか。
それが証拠にゴールイン後、笑顔を見せながらも福士は汗とともに流れ落ちる大粒の涙を周囲に気付かれないように何度もタオルでぬぐっていたという。素顔は不器用かつストイックな「みちのくの爆走娘」の4度目の五輪が終わった。
「がんばったけど、負けた。人生で一番がんばった」。
そう自分に言い聞かせるようにコメントした福士は死力を振り絞りながらも「負けた」ことで、内心では悔しさと納得感が複雑に絡み合っているはず。負ければ批判を受けるのが代表の宿命であることも十分によく分かっている。今後は休養が濃厚だが、気持ちを整理してすべてをリセットしてほしい。
臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:
国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
関連記事
- “ハンカチ王子”斎藤佑樹の人気はなぜ凋落したのか
かつて“ハンカチ王子”として脚光を浴びた日本ハム・斎藤佑樹投手の人気が凋落している。成績がパッとしないから仕方がない部分もあるが、なぜKYな言動を繰り返すのか。その裏にあるのは……。 - なぜ斎藤佑樹は“おねだり王子”になったのか
『週刊文春』で斎藤佑樹投手の醜聞が報じられ、大きな波紋を呼んでいる。同誌によると、ベースボール・マガジン社の社長に斎藤がクルマを“おねだり”したようだが、一流とは言えない選手とメディアがなぜこのような癒着をするのか。 - 何が起きていたのか? 清原和博容疑者が古巣・巨人を「震撼」させていた
元プロ野球選手・清原和博容疑者が覚醒剤所持容疑で逮捕されたが、その衝撃はいまだ沈静化していない。新たな疑惑がたくさん浮上してきているからだ。その中の1つ……。 - 野球評論家の張本勲氏は、なぜ失言を繰り返すのか
人気情報番組『サンデーモーニング』に出演している野球評論家・張本勲氏のコメントが、ネット上でしばしば“炎上”する。現役時代の張本氏は偉大な選手だったのに、なぜ失言を繰り返すのか。スポーツライターの臼北氏が分析したところ……。 - 重くなったのに、なぜ軽く感じるのか 売り子が背負うビールサーバー
野球場などでキャストと呼ばれている“売り子”が生ビールを販売している。彼女たちが背負っているサーバーは重いので、アサヒビールとデサントは共同で新しいモノを開発。さざかし「軽く」なったんだろうと思っていたら、実は「重く」なっていた。えっ、どうして……?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.