「上場ゴール」か、成長途上か LINEは上場初日の評価を超えることができるのか(2/3 ページ)
7月15日に上場したLINE。しかしこのタイミングでの上場に「“上場ゴール”ではないか」といった懐疑的な声もあり、LINEをどう評価すべきか市場は図りかねているようだ。期待と不安が交錯するLINEの上場を、アプリ業界はどう見ているのか――業界関係者に聞いた。
モバイルは魅力的な広告市場
LINEの成長ポイントはもう1つある。それは“モバイル広告市場”だ。
企業の広告費はこれまで、そのほとんどが既存のメディア(テレビ、新聞、雑誌など)に使われていた。特に古い歴史を持つ日本企業はその傾向が強く、広告のデジタル化・モバイル化は進んでいない。モバイルの重要性をなんとなく分かってはいても、「数多くのチャンネルの1つ」と考えていた。その一方で、IT関係や、ゲームやエンターテインメント系がモバイルの重要性に注目するのは早かった。
「モバイル広告のポイントは、企業から消費者に向けてターゲティングができること。時間やタイミングもカスタマイズして、消費者の好みに合わせてピンポイントに広告を出すことができる強みがある」(滝澤さん)
日本ではまだまだ趣味嗜好が似通っているために、従来型メディアによるマスマーケティングはまだ強力だ。だが今後、社会の多様化が進めば、同質な大集団を前提としたマス広告のコストが見合わなくなっていく。
これまでは「20代女性向けの商品なら、人気のテレビドラマ枠に広告を出しておけばリーチできる」といった方針で済んでいたが、多様化した社会では「どういう20代女性に届けたいのか」をきちんと考える必要が出てくる。届けたい層は、ふだんどういったコンテンツを消費して、どんな物を買ってくるのか? そういったことを考えながら、ターゲット層を打ち出していく。そしてその層にピンポイントに届けることができるのがモバイル広告の強みだ。
LINEの16年1〜6月期決算では、広告サービスの売り上げが前年同期から+60.1%と大きく成長した。LINEの収益モデルは「コミュニケーション(スタンプ・着せかえなど)」「コンテンツ(LINE GAME・LINEマンガなど)」「LINE広告」「ポータル広告」の4軸があるが、その中でLINE広告は最も成長率が高く、最も売り上げが多い「コンテンツ」の収益に迫りつつある。
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