高齢者カモ疑惑 PCデポの「初動対応」があまりにもお粗末だったのはなぜか:スピン経済の歩き方(4/5 ページ)
PCデポが大炎上した。PCの使い方などをサポートするサービスに対して、批判が集中したわけだが、同社の初動対応に問題はなかったのだろうか。炎上後、PCデポの対応をみると……。
なんとなくうまくやり過ごしてきた組織
また、PCデポは適格消費者団体「埼玉消費者被害をなくす会」から2015年10月に、「スマートフォンのサポートサービス契約における解約金条項」、2016年6月には「機種変更時に表示された料金ですべてのサポートサービスが受けられると誤認させる料金表示」を問題として指摘されている。これを受けて、PCデポは8月を目処に規約を改定するなどの改善をする予定だと回答していた。
さらにもっと過去に遡(さかのぼ)れば、PCデポの野島隆久代表取締役社長がかつて勤務し、兄が社長を務めるノジマ電気も2011年10月に、通信サービス契約とセット販売していたPCの価格を「1円」にしていたことが景品表示法違反(有利誤認)にあたると、適格消費者団体「消費者機構日本」が改善を申し入れしたこともある。
要するに、今回の炎上案件以前にも、PCデポの経営層というのは数多の消費者トラブルを経験しており、その中にはまさに現在進行形で対応にあたっていたものもあったのだ。
これは裏を返せば、PCデポは消費者団体などから問題視されても、大きな社会的制裁を受けることなく、なんとなくうまくやり過ごしてきた組織ともいえる。
企業広報のアドバイスを仕事にしていると、こういう「トラブル慣れした企業」に限って、顧客をバカにしたような対応をしてしまう場面をよく見る。トラブルが多ければ、反省して真摯(しんし)に対応をするようになるんじゃないの、と思うかもしれないが現実は逆だ。
三菱自動車の不正隠しなどは典型的なケースで、大きなトラブルを乗り越えるたびに、消費者に対する恐れが薄れてしまう。あれが大丈夫だったんだから、これもイケるだろと企業モラルのハードルも下がっていき、その結果、消費者の怒りに鈍感になってしまうのだ。
関連記事
- 「石原さとみの眉が細くなったら日本は危ない」は本当か
女優・石原さとみさんの眉がどんどん細くなっている。彼女のファンからは「そんなのどーでもいいことでしょ」といった声が飛んできそうだが、筆者の窪田さんは「日本経済にとって深刻な事態」という。なぜなら……。 - 「着物業界」が衰退したのはなぜか? 「伝統と書いてボッタクリと読む」世界
訪日観光客の間で「着物」がブームとなっている。売り上げが低迷している着物業界にとっては千載一遇かもしれないが、浮かれていられない「不都合な真実」があるのではないだろうか。それは……。 - 「日本は世界で人気」なのに、外国人観光客数ランキングが「26位」の理由
日本政府観光局によると、2014年に日本を訪れた外国人観光客は2年連続で過去最高を更新した。テレビを見ると「日本はスゴい」などと報じているが、国別ランキングをみると、日本は「26位」。なぜ外国人たちは日本に訪れないのか。その理由は……。 - 「LEDよりも省エネで明るい」という次世代照明がなかなかブレイクしない理由
「CCFL(冷陰極管)」という照明をご存じだろうか。LED照明にも負けない省エネで低価格な製品だが、筆者の窪田氏は爆発的な普及は難しいという。なぜなら……。 - ファミレスでタダでバラまく新聞が、「軽減税率適用」を求める理由
ホテルやファミレスなどで新聞が無料で配られているのにも関わらず、読んだことがない人も多いのでは。大量の新聞紙が「刷られて、運ばれて、廃棄されて」いるわけだが、筆者の窪田氏はあることにスッキリしないという。それは……。 - なぜ日本人はウイスキーを「水割り」で飲むのか?
ドラマ『マッサン』効果でウイスキー市場が盛り上がっている。各社の売り上げが伸びている一方で、気になることも。それは「水割り」。海外の人たちは「ストレート」や「ロック」で飲んでいるのに、なぜ日本人の多くは水割りを好むのか。その理由は……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.