昨季は嫌われていたのに、いかにして「名将」になったのか 広島カープの緒方監督:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)
プロ野球の広島カープが、25年ぶりにセ・リーグ優勝を果たそうとしている。長く暗黒時代から抜け出せなかったのに、なぜこれほどまでに大きな変貌を遂げることができたのか。
感情的になって“逆ギレ”することも
だが、そうは言っても人の性格はそう簡単になかなか変わるものではない。ましてや、緒方監督は指揮官としてのルーキーイヤーで元来の「ぶっきら棒な性格」であることから、そこまでの余裕もなかった。結局、メディアから質問を受けてもはぐらかしてほとんど答えになっていなかったり、挙句の果てにはコメントに窮すると感情的になって“逆ギレ”することも多々見られた。
そういう流れがあったので、メディアとの関係性は良好と言えない状況が続いていた。だから、ギクシャクしていたメディアの向こう側にいるファンには緒方監督の真意がなかなか伝わりにくい事態を招いてしまい、それで多くの鯉党からも輪をかけて反発を食らう一因となってしまっていたのだ。明らかに、このころは地元のメディアやファンからも「緒方監督で本当に大丈夫なのか」と疑心暗鬼の目が向けられていた。
そんなムードの中、本拠地マツダスタジアムで迎えた2015年・レギュラーシーズン最終戦。ここで1つの“事件”が起きた。
10月7日の中日ドラゴンズ戦は勝てばAクラス入りとなり、クライマックスシリーズ(CS)進出を果たせる負けられない一戦だったが、チームは痛恨の黒星を喫してしまった。もちろんCS出場を信じて集まっていたスタンドからは落胆のため息と怒声が複雑な感じで入り混じり、球場内にはなんとも言い難い感じで緊迫した雰囲気が漂っていた。
それでも、この日はホームゲームの最終戦。たとえ緊迫しようがどんな形で終わろうとも1年間声援を送り続けてくれたファンにあいさつと御礼を口にしなければならない責務が監督にはある。ところが当日、緒方監督は用意されていたマイクの前に立つことはなく、グラウンド上でのあいさつが行われなかったのだ。
これに対し、ネット上のユーザーたちが怒りを爆発させて噛み付きまくった。「監督が本拠地最終戦であいさつしないなんて前代未聞」「緒方の“ぶっきら棒”がここに極まれり」「カープのダメダメ指揮官は最後まで酷い態度だった」――。中には「緒方監督はCSに行けなかったからファンに野次られ、罵声を浴びまくるのが怖かったんじゃないのか」などと指揮官の意図的な“逃走”を疑う声まであったほどだった。
関連記事
- 女子マラソンで惨敗した福士加代子の発言は、本当に「KY」なのか
リオ五輪が盛り上がっている。特に女子マラソンの視聴率は22.6%(関東地区)を記録するなど、多くの人が注目した。にもかかわらず、日本の3選手は惨敗。中でも、14位に終わった福士加代子の発言が、物議を醸している。 - “ハンカチ王子”斎藤佑樹の人気はなぜ凋落したのか
かつて“ハンカチ王子”として脚光を浴びた日本ハム・斎藤佑樹投手の人気が凋落している。成績がパッとしないから仕方がない部分もあるが、なぜKYな言動を繰り返すのか。その裏にあるのは……。 - 野球評論家の張本勲氏は、なぜ失言を繰り返すのか
人気情報番組『サンデーモーニング』に出演している野球評論家・張本勲氏のコメントが、ネット上でしばしば“炎上”する。現役時代の張本氏は偉大な選手だったのに、なぜ失言を繰り返すのか。スポーツライターの臼北氏が分析したところ……。 - 「イチローは絶対に手放したくない」 絶賛の声が続々
マーリンズのイチロー選手が歴史的偉業を達成した。史上30人目となるメジャー通算3000本安打を達成したわけだが、周囲の人間はイチローのことをどのように見ているのか。チーム関係者からは「絶対に手放したくない」という声も。 - 「イジメ」「逆風」に屈しなかったイチローのスゴさ
大リーグのイチローが金字塔を打ち立てようとしている。メジャー通算3000本安打まで残り65本、日米通算でいえば、最多安打を誇るピート・ローズ氏の4256安打にあと43本。「やっぱりスゴいなあ」と思われたかもしれないが、そのイチローも海を渡った直後は苦労を味わっていた。それは……。 - 重くなったのに、なぜ軽く感じるのか 売り子が背負うビールサーバー
野球場などでキャストと呼ばれている“売り子”が生ビールを販売している。彼女たちが背負っているサーバーは重いので、アサヒビールとデサントは共同で新しいモノを開発。さざかし「軽く」なったんだろうと思っていたら、実は「重く」なっていた。えっ、どうして……?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.