ご当地フィギュア「諏訪姫」シリーズが、20万体超のヒットとなった理由:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
長野県諏訪市公認のご当地萌えキャラ「諏訪姫」が売れている。デビューから4年が経っているのに、いまだに人気があって、フィギュアの販売個数は20万個を突破。全国的にみると、ご当地萌えキャラは苦戦しているのに、なぜ諏訪姫は多くの人から愛されているのか。
スピン経済の歩き方:
日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。
そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」を紐解いていきたい。
先日、中央道で移動中、諏訪湖サービスエリア(長野県)に立ち寄ったら「へえ」という光景が目に飛び込んできた。
近赤外線方式オートフォーカスカメラを国内で初めて開発した株式会社チノンのデジタルカメラや、精密加工メーカーNEXTが「倒れにくいコマ」など、諏訪地域企業の逸品を扱う「SUWAプレミアムショップ」と並んで、「諏訪姫」のフィギュアがズラリと並んでいたのだ。
なにそれ? という方のために説明すると、「諏訪姫」とは、2012年から諏訪市公認となった「ご当地萌えキャラ」。500年前の戦国時代、武田信玄の側室として記録に残っている「諏訪御料人 すわひめ」をモデルとしており、子どものころにお城の裏で遊んでいたら『時空のゆがみから現代にタイムスリップ』(公式サイトより)し、市内の「すわこ」という女子中学生の家に居候をしている――という、「ドラえもん」のような設定だ。
「諏訪姫」はフィギュアのラインアップが豊富で、着物、浴衣、御柱祭、「スク水」などのほかに、7分の1スケールのモノまで販売されている。さらにコーナーには、松本市の「くのいち縄手」、上田市の「小松姫」、塩尻市の「玄蕃サラ」、茅野市の「女神涼」、岡谷市の「岡谷まゆみ」、下諏訪町の「阿弥陀万里」など同じ長野県内の自治体に紐付いた「ご当地萌えキャラ」のフィギュアも並べられ、この一角だけアキバのホビーショップのような賑(にぎ)わいを見せていた。
実際、9月27日の『読売新聞』に登場した製造元社長によると、諏訪姫も含めた「ご当地フィギュア」は『販売個数が20万個を超えるヒット商品』になっているという。
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