トヨタ・ダイハツのスモールカー戦略が始まった:池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/4 ページ)
今年8月1日にトヨタ自動車がダイハツを完全子会社化してから、初の小型車の発表があった。世界ナンバーワン小型車メーカーへの道を進む上で、重要かつ失敗の許されない第一歩と言えるかもしれない。
トヨタ自動車を中心とした巨大アライアンスが着々と勢力圏を拡大している。ダイハツ、スバル、マツダ、スズキ。商用車では日野といすゞもアライアンス内にある。その規模は、ついに乗用車のグローバル新車販売台数で1600万台に達した。ついこの間まで、フォルクスワーゲン、GMと1000万台の三つ巴争いをしていたはずなのに、一気にそこを突き抜けて台数ベースでは他の追随を許さない状態になりつつある。
実はグローバルではBMWとのアライアンスもあるのだが、このトヨタ・アライアンスが日本人にとって特別に興味深いのは、日の丸連合の様相を呈していることだ。
世の中では今後の自動運転のデファクトスタンダード争いにおいて、「グーグル対自動車メーカーならグーグル圧勝」というような話も喧伝されているが、この状況の中、トヨタが首を縦に振らない限り、グーグルはデファクトスタンダードを取れない。既にトヨタは昨年4月にIoT(モノのインターネット)戦略を担うコネクテッドカーカンパニーを設立し、マイクロソフトとの提携もスタートさせている。日の丸連合の行方のキーを握っているのは明らかにこのコネクテッドカーカンパニーだ。その指揮を任されたトヨタの友山茂樹専務の責任は重い。
本質がデファクトスタンダード争いである以上、中小規模のメーカーが独自技術で参戦するのは不可能であり、恐らく、今後もこのトヨタアライアンスに参加するメーカは増えていくだろう。自動車メーカーグループで言えば、2位のフォルクスワーゲン・グループ、3位のGM、以下、ルノー日産、ヒュンダイ、フォード、ホンダ、フィアット・クライスラー、プジョー・シトロエンを見回してみると、今後トヨタ陣営とフォルクスワーゲン陣営、どちらかに旗色を決めざるを得ない状況が来たら、トヨタに身を振りそうなメンツの方が多い。そうした状況を作り出すためのスズキとの提携だったのではないかと筆者は思っている。
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