「NAVERまとめ」、元記事に還元する仕組み導入へ:「WELQ」問題を受け
LINEがキュレーションプラットフォーム「NAVERまとめ」の運営方針を変更すると発表。まとめられた1次情報発信者にインセンティブが還元される仕組みを2017年中に導入する。
LINEは12月5日、運営するキュレーションプラットフォーム「NAVERまとめ」の運営方針を変更すると発表した。まとめられた1次情報発信者にインセンティブが還元される仕組みを2017年中に導入する。キュレーションメディアに批判が集まっているのを受け、対応策を打ち出す。
NAVERまとめは、個人がWeb上のコンテンツを集めることができるキュレーションサービス。まとめたユーザーはPV数に応じて報酬を受け取る。月間PVは約26億1000万、月間UU(ユニークユーザー)は約7000万に達する、日本最大のキュレーションプラットフォームだ。
これまでのNAVERまとめの運営について、LINEの島村武志上級執行役員は、「著作権侵害への対策は、常時監視体制を敷き、法規制ガイドラインに沿って対応していた。非表示にしたまとめは表示にしているものよりも多いほど。しかし、監視だけでは判断できない権利侵害があった」という。また、「まとめられている情報の1次提供者の権利保護や還元に課題があった」という。
ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営するメディアに端を発し、各社のキュレーションメディアへの批判も高まっている。LINEは課題を解決するため、LINEは「まとめ作成者にオーサー(著者)ランクを適用」「1次情報発信者の権利保護」という2つの新方針を導入する。
まとめ作成者のオーサーランク
これまでNAVERまとめでは誰でもまとめを作成することができ、どの投稿者のまとめも平等に並んでいたが、今後はLINE IDで認証を行い、作成者の経歴、背景などを審査や承認し、ランクを付ける。ランクに応じて上位表示や、PVに応じた報酬がより高いレートになるなどのインセンティブを設定する。
「より専門的な知見や知識があるまとめ作成者ほど、力が発揮できる場所を作っていきたい」(島村氏)
1次情報発信者の権利保護
現在は、基本的にまとめ作成者のみがPV報酬を得られるシステムになっているが、まとめられたコンテンツの1次情報発信者にも還元する。
1次情報発信者は、サイトやURL単位で著者登録を行う。審査、承認後は、1次情報発信者が「この情報はまとめていい」「この情報はまとめ不可」など利用範囲を設定可能にするという。
コンテンツがまとめで紹介された場合、貢献の指標に応じて1次コンテンツの著者にインセンティブを還元する。その割合は未定だが、「まとめ作成者よりも多くを還元する必要があるかもしれない」(島村氏)という。
LINEは以前からNAVERまとめの運営方針について課題を感じていたが、改善の難易度が高いと考えて取り組めていなかった、という。しかしWELQをはじめとするキュレーションメディアの問題を受けて、今回の判断に踏み切ったとしている。
「今回、『キュレーション』とは何なのかと考え直す機会を得られたと思っている。経営面でのコストはかかるため、利益は削ることになるかもしれないが、コンテンツを作成する人、コンテンツを流通させる人、その情報を必要とする人、その全てにとってより良いインターネットを作りたい」(島村氏)
関連記事
- 「上場ゴール」か、成長途上か LINEは上場初日の評価を超えることができるのか
7月15日に上場したLINE。しかしこのタイミングでの上場に「“上場ゴール”ではないか」といった懐疑的な声もあり、LINEをどう評価すべきか市場は図りかねているようだ。期待と不安が交錯するLINEの上場を、アプリ業界はどう見ているのか――業界関係者に聞いた。 - 「LINE LIVE」一般ユーザーがライブ配信可能に 女子高生の感想は?
ライブ動画配信プラットフォーム「LINE LIVE」の大型アップデートが実施された。これによって、一般ユーザーがライブ配信機能を使うことが可能になり、動くスタンプやギフトアイテムも登場。実際に使ってみた女子高生の感想は? - 一般開放のLINE BLOG 国内ブログ市場でいかに勝つ?
LINEがブログサービス「LINE BLOG」を一般ユーザーにも開放し、ネット業界の注目を集めている。“著名人パワー”で急成長したLINE BLOGは、群雄割拠状態の国内ブログ市場で勝てるのだろうか。 - セブン-イレブンのATMで「LINE Pay」入出金が可能に
セブン銀行は、セブン-イレブンのATMを利用して「LINE Pay」への入出金ができるサービスを始める。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.