だから日本経済の生産性は「めっちゃ低い」:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
日本の1人の当たりのGDPが低い。「生産性が低い。もっと高めよう」といった話をすると、「日本人はチームプレーが得意なので1人当たりのGDPなど意味がない」といった反論も。なぜ科学的根拠のない意見が飛んでくるのか。その背景には、戦前からある「戦争学」が影響していて……。
スピン経済の歩き方:
日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。
そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」を紐解いていきたい。
先日、M−1グランプリを見ていたら審査員のオール巨人さんがこんなことをおっしゃっていた。
「海外のテレビや映画を見ても、日本のお笑いは世界でもトップレベル。今日は世界一の漫才を決めるといっても過言ではない」
確かに、海外のコメディアンのギャグとかを見ても、「なにがおもしろいの?」と感じるのは珍しくない。ただ、「笑い」というものはその国の文化、歴史、社会背景にも深く関わる。もしこの発言を、さまざまな国の「笑い」に関わる人々がご覧になったら、かなり異論が飛び出すのではないだろうか。
断っておくが、お笑い界のレジェンドの発言にイチャモンをつけたいわけではない。個人的には日本のお笑いは大好きだし、日本人として自国の「笑い」は他国にひけをとらないほどレベルが高いと信じたい。
ただ、海外から「日本のお笑いは世界一」という客観的な評価を受けたわけでもなく、ましてや世界各国にどれだけ日本の笑いが浸透しているのかというような指標があるわけでもないにもかかわらず、その産業を長く牽引されてきたような方の口からいともたやすく「世界一」という言葉がでてしまう現象が、ある人物が指摘している「日本病」の特徴とあまりにもピタッとハマり過ぎていて非常に興味深いということを申し上げたいのだ。
その人物とは、このコラムで何度か紹介してきた小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏である(関連記事)。
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