ふるさと納税、新しい“2つのトレンド”:「肉と魚」だけじゃない(2/2 ページ)
身近なものとなったふるさと納税。寄付額も昨年度から1.6倍の2600億円になると見られ、件数・金額ともに成長している。ふるさと納税で人気なのはやはり王道の肉と魚介類だが、2016年には新たな2つのトレンドが生まれたという――。民間ふるさと納税サイト「さとふる」に聞いた。
ふるさと納税、17年はどうなる?
“被災地支援”と“体験型”がトレンドになった16年のふるさと納税。では、17年はどうなるだろう。
「引き続き、体験型の返礼品は増えていくと思われます。また、寄付金の使い道により注目が集まるのではないでしょうか。15年と16年のデータを比べると、寄付金の使い道への興味が約1.5倍伸びているんです。17年もその傾向が強まると予想しています」(道岡さん)
さとふるが12月に公開した調査では、さとふるサイトに登録している自治体の7割弱が寄付金の使い道(実績)を公開している。逆に言えば、約3割はふるさと納税で得た財源を公表していない。ふるさと納税制度の利用者の「自分の寄付金がどのように使われているか知りたい」というニーズが高まれば、情報をきちんと公開している自治体に人気が集まるようになっていくだろう。
千葉県我孫子市は、寄付金の使い道を利用者に選ばせる方式を取っている。自然環境保持や文化事業促進など、全部で16の事業の中から指定でき、「おまかせ」の次に人気があるのが福祉事業と教育事業だ。
「ふるさと納税制度の利用者は、データの上では30〜50代の所得が高い男性が大部分を占めています。ただし、実際は女性の意見が反映されているケースが多いという印象がありますね。福祉と教育に対する意識が高いのは、その表れではないでしょうか」(谷口さん)
「自分の税金で地域社会をよいものにしたい」というニーズが高まりつつあるのは、本来のふるさと納税の主旨に合っている。そういう意味では、より健全化が進んでいるといえるだろう。
しかしその一方で、看過できない問題もある。それは自治体の負担が重くなっていることだ。先述の調査では「自治体が課題と感じているものは」という質問に対し、トップに来たのが「ワンストップ特例申請受理業務の負荷が重い」(68.4%)と「寄付受領書発行業務の負荷が高い」(46.1%)だ。
「ふるさと納税専任の担当者を設けている自治体は少なく、財務課や企画課の職員が兼務しているケースがほとんどです。ふるさと納税に関連する事務作業に忙殺されてしまい、本来の業務に集中できなくなってしまうことも」(谷口さん)
そうなっては本末転倒。ふるさと納税の知名度が約9割になり、規模も大きくなっているだけに、自治体側の体制を整え直すことも必要になってきている。
ちなみに、16年分の寄付は、12月31日に支払いが完了しているものまでが取り扱いの対象になる。多くの返礼品は年内配送が間に合わないが、「今からでも年内に届く」「果物などの旬に合わせて17年の指定月指定ができる」などの返礼品もある。“駆け込み寄付”はまだ間に合う。
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