東京商工リサーチは3月7日、2016年に倒産した業歴30年以上の老舗企業は2403件で、業歴が判明している全倒産企業に占める割合は32.2%(前年比0.1ポイント減)だったと発表した。30%を上回るのは6年連続。老舗企業の苦戦が続く原因は「時代の変化に適応できず、業績悪化から倒産に至るケースが増えている」とみている。
倒産が多かった老舗企業を業種別にみると、製造業(51.6%)が最高。「設備投資負担や人材確保による人件費などのコスト高、事業承継などの経営課題に加え、為替変動や海外進出など経済のグローバル化に対応できなかった企業が多い」という。以下、卸売業(39.4%)、農・林・漁・鉱業(36.6%)と続いた。
一方、業歴10年未満の新興企業の倒産件数は1677件。割合は0.5ポイント減の22.4%で、老舗企業との構成比の差が拡大していることがうかがえた。
業種別にみると、新興企業では金融・保険業(40.9%)の倒産が最も多かった。「低金利が続くなかで、高配当などを謳(うた)って資金を集めるなど、当初からビジネスモデルに無理があった投資運用業などが散見された」という。以下、サービス業など(33.4%)、情報通信業(29.8%)と続いた。老舗企業で倒産が多かった製造業は9.8%で、新興企業の中では最も低かった。
調査結果について、東京商工リサーチは「老舗企業は長年培われた信用と実績を背景に事業基盤を築いているが、経営者の高齢化による後継者問題を抱える企業も多い。グローバル化に対応できなくなっているケースもある。老舗企業は、独自の強みと弱みを認識し、どう生かすか手腕が試されている」と分析している。
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