楽天、「ドローン運行管理」新事業 衝突や不法侵入防ぐ:米AirMapと合弁会社
楽天が、ドローンの運行管理システムを手掛ける米AirMapと合弁会社「楽天AirMap」を設立。2017年半ばをメドに、ドローン事業者に管制システムを提供する新サービスを始める。
楽天は3月15日、ドローンの運行管理システムを手掛ける米AirMap(エアマップ)と合弁会社「楽天AirMap」を設立し、国内に無人航空機管制ソリューション(UTM)を提供する新事業を始めると発表した。UTMはドローンの飛行位置と運行状況を可視化し、衝突や飛行禁止区域への不法侵入を防ぐシステムで、ドローン事業者をターゲットに想定。2017年半ばのサービス開始を見込む。
AirMapは15年創業のベンチャー企業で、米国を中心にUTMやドローン向けアプリの開発・販売を行っている。同社のUTMは、地方自治体から学校や公園などへのドローン飛行の可否に関する情報を受け取り、天候などの情報を付加してドローン事業者に伝える仕組み。ドローンの飛行中は、他のドローンやビルなど各種建造物との位置関係をもとに飛行経路を管理し、衝突を防ぐ。ドローンの現在地は、スマートフォン、タブレット、PCなどから把握できる。
新たに設立する楽天AirMapは、こうしたドローン向けサービスを日本の企業や自治体向けにローカライズして提供を行っていく。日本では、楽天が16年4月にドローンを活用した配送サービス「そら楽」を試験運用するなど、ドローンの商用化に取り組む動きが加速している一方で、安全性を危険視し、公園などでドローンの飛行を禁じる自治体も多い。そのため、ドローンを活用したビジネスは広く定着するに至っていない。楽天は、このような課題の解決策として、米国を中心に発展するUTMに着目。半年ほど前からAirMapと交渉を重ね、合弁会社の設立に至ったという。
楽天の虎石貴執行役員は、「ドローンは運輸業や農業への導入の余地が大きく、過疎地域への配達や農薬の散布などへの利用が今後増えるだろう。無人の管制システムによって安全な運用をサポートしたい」と話す。現時点では、地方自治体からの情報提供は任意としているが、「ドローンのビジネス活用が進むにつれ、空域の権利問題は必ず発生する。その際に迅速に対応できるよう、情報提供にインセンティブを設けるなどの施策を考えていきたい」という。
楽天AirMapの代表取締役に就任する向井英明氏は、「ドローン事業者のビジネスを推進するだけでなく、地方自治体の土地をしっかりと守れるようなサービスに育てていきたい」と展望を語っている。
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