中小企業の人事、クラウドで支援 freeeが新サービス:HRテックに本格進出
ベンチャー企業のfreeeが、クラウドを活用して人事担当者の業務を効率化する新サービス「人事労務 freee」を発表。近年注目を集める「HRテック」領域に本格進出する。
freee(フリー)は3月22日、クラウドを活用して人事担当者の業務を支援する新サービス「人事労務 freee」を発表した。従業員の詳細なプロフィールや行動データをクラウド上に集約し、給与計算、勤怠管理、従業員管理、マイナンバー管理、労務手続きを一元化するもので、中小企業をターゲットに想定。同日から事前予約を受け付け、6〜7月の発売を予定している。
freeeは2012年に創業後、「クラウド会計ソフト freee」を中心に、「クラウド申告 freee」「会社設立 freee」などの業務支援サービスを展開。「人事労務 freee」は、約10万件の事業所が導入している「クラウド給与計算ソフト freee」をリニューアルし、機能を拡充したものだ。
同社によると、中小企業の労務管理現場では、個別の労務ソフト、会計ソフト、経費精算ソフト、勤怠管理ソフトなどを組み合わせて利用するケースが多く、業務フローの複雑化が課題になっているという。
こうした状況下では、結婚や昇進などで従業員のステータスが変わった場合、従業員名簿の更新、法定帳簿の更新、扶養の調整、労務手続き書類の作成などを異なるシステム上で実施する必要があるため、多重業務が発生し、人事担当者の負担増加につながっている。
新サービスでは、給与情報、勤怠記録、マイナンバーなど各種情報と従業員情報をひも付けることで、人事担当者は専用のポータルサイトから一括で更新や転記が可能になり、業務に要する時間を短縮できるという。
同社で人事労務担当とプロダクトマネジャーを兼任する岡田悠氏は、「人事担当者は本来、就業規則の改定、評価制度の設計、適切な人材配置の考案など非定型的な業務に注力したいと考えているはず。定型的なデータ入力の所要時間を削減できる新サービスを利用すれば、人事担当者は取り組みたい業務に専念できる」と自信を見せる。
近年、テクノロジーを活用して人事労務を効率化する「HRテック」(Human Resourse Technology)が注目を集めているが、同社は今後、この領域に本格的に進出していくという。
岡田氏は、「現在、企業の人事労務系システム市場は300億円程度。今後5年以内に市場シェアの20〜30%を獲得することを目的に、サービスを拡充していきたい」と話している。
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