東芝は4月11日、2度にわたり延期していた2016年4〜12月期の連結決算を発表した。ただ、監査法人は米原発事業で示唆された「不適切なプレッシャー」の影響を評価できていないなどとして、決算の内容が正しいかどうかについて「結論の不表明」のまま発表する異例の事態になった。
東芝は「これ以上発表を遅らせることは、企業情報が開示されないことによるステークホルダーに与える不利益が極めて大きいと判断した」と説明している。
PwCあらた有限責任監査法人は、東芝が提出した四半期報告書について、「結論の表明の基礎となる証拠を入手することができなかった」として意見を表明しなかった。
東芝は、米原発子会社だったウエスチングハウスが企業買収する際、ウエスチングハウスの一部経営者が「不適切なプレッシャー」をかけた可能性があると公表し、調査中。
監査法人は、この調査について評価が終了しておらず、過去の工事損失引当金の認識時期など、ほかにも評価が終了していない調査事項があるとして、結論について表明しないことを決めたと説明している。
第3四半期決算の本来の開示期限は2月14日だったが、巨額損失を出した原子力事業の会計処理の調査に時間がかかるなどし、2度にわたって延期。11日は再延期の期限だった。
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