名刺サービスEightが狙う「ビジネスSNSの空白」:グループチャット機能追加
名刺アプリ「Eight」の新バージョンでメッセージ機能を強化した。3人以上のグループでもメッセージのやりとりが可能になる。Eightの狙いとは?
クラウド名刺管理サービスのSansanは4月13日、名刺アプリ「Eight」の新バージョンでメッセージ機能を強化した。これまでの1対1のみから、3人以上のグループでもメッセージのやりとりが可能になる。狙うのは「ビジネス特化型SNSの空白」だ。
Eightは無料の個人向けクラウド名刺管理サービス。ユーザー数は150万人を突破している。スマートフォンのカメラで名刺を撮ると、Sansanスタッフがデータの手入力を行い、クラウド上に登録する。名刺を登録した相手とはEight上でつながり、相手が転職や昇進などで名刺を変更した場合には通知が届く。また、既に知り合いである可能性が高い人をレコメンドする機能もある。
2012年にサービススタートしたEight。利用者の拡大とともに、単なる名刺管理ツールではなく、ビジネスSNSプラットフォームとしての機能を拡充してきた。現在はメッセージ機能、プロフィール機能、仕事の近況や告知などを行えるフィード機能、企業情報を掲載できる「企業ページ」機能を備えている。
2月にはデザインを大幅にリニューアル。サイトカラーも青からグレーへと変更した。「シンプルで使いやすく、コンテンツが見やすい」を目指したデザイン改修により、アクティブユーザー数が増加したという。
グループチャットの実装は、さらにSNSとしての機能を強化するものだ。Sansanの広報担当、溝野萌さんは、グループチャット機能とEightの戦略について次のように語る。
「アポの前後で、グループチャットを使っていただきたい。特にアポの前に利用すれば、事前に相手のプロフィールや役職なども把握でき、ビジネスの加速やキャッチアップが期待できる。以前から布石を打ってきましたが、『名刺管理アプリのEight』から、『ビジネスSNSのEight』と思っていただく土壌が整ってきた」
ビジネスSNSは、海外では「LinkedIn」が大きなシェアを持ち、全世界で会員数は4億人を突破している。LinkedInは11年に日本向けローカライズと日本語対応が実現しているが、14年時点で会員数は100万人程度にとどまる。12年にはサイバーエージェントが「INTELY」をスタートしたが、14年には撤退するなど、さまざまなプレイヤーが参入しているが、ビジネスSNSは事実上、空白状態にある。
「現状空白を埋めているのは、Facebookです。ただ、プライベートと仕事を分けたいと考えているユーザーは少なくない。この空白地点でEightがシェアを取り、みなさんに使っていただきたい」(溝野さん)
コミュニケーションをEight上で行うようになれば、既存会員のアプリ利用率やアクティブユーザー率上昇も期待できそうだ。Sansanは150万人の会員数を生かし、ビジネスSNSとしてのサービス成長を目指す。
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