プレミアムフライデーは何がいけなかったのか:常見陽平のサラリーマン研究所(3/3 ページ)
プレミアムフライデー(笑)。今となっては、口にするのも恥ずかしい。これほど皆がこの施策にノッてこれないのは筋が悪かったからではないだろうか。いや、そもそもムリゲーだったというのが、私の見解である。
格差社会であることが、より可視化される
長時間労働是正の話をしたが、消費促進策に関しても給料を上げるという施策を打たない限り、意味がないのだ。
この根本を解決しない限り、プレミアムフライデーの成功は難しい。このことを経済産業省の役人は分かっているのか役人は分かっているのか(たくさんの給与をもらっているので、そのへんの勘が鈍っているだけなのか)。
そもそも、厚生労働省でも「ゆう活」(夕方のうちに仕事を終わらせ、プライベートを楽しむこと)なる施策を数年前から打ち出している。これぞ、縦割り行政の弊害ではないか。われわれの血税を使って、何をやっているのか。
もともと「花金」という言葉がある通り、金曜日の消費促進施策は昔から行われていた。デパートなどでは4半期に1回、イベントを行っていたりもした。
この施策にのれる人、のれない人、さらにはどんな過ごし方をするかにおいて、格差社会であることがより可視化されるのではないか。つまり、プレミアムフライデーに派手に消費する層と、コンビニの酒でちょい飲みする層である。いや、もうそういう時代になっているが。
最後にちゃぶ台をひっくり返すが、休む奴はもう既に月末金曜どころか、毎日午後3時から飲んでいるのだよ。仕掛けた経産省の役人よ、今からでもいい。午後3時からの“せんべろ”飲みを1カ月続け、改善策を考えよ!
常見陽平のプロフィール:
1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』『エヴァンゲリオン化する社会』(ともに日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)『普通に働け』(イースト・プレス)など。
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