日本郵政の野村不動産買収、破談に 条件合わず:野村不動産の株価は急落
日本郵政による野村不動産ホールディングスの買収交渉が中止に。条件面で折り合わなかったとみられる。交渉破談を受け、野村不動産HDの株価が急落した。
日本郵政と野村不動産ホールディングス(HD)は6月19日、日本郵政による野村不動産HDの買収交渉を中止したことを明らかにした。日本郵政は不動産事業を新たな収益源とするため、数千億円を投じて野村不動産HD株の過半数を取得する交渉を行ってきたが、条件面で折り合わなかったとみられる。
日本郵政は19日、買収交渉について「現時点で検討を行っている事実はない」とのコメントを発表。野村不動産HDも「日本郵政による当社株式の取得について検討して参りましたが、今般、当該検討を中止することになりました」との声明を発表した。
両社の交渉は5月13日発覚。当初、日本郵政は「新たな資本業務提携についてさまざまな可能性を検討している。開示すべき事実が決定された場合には速やかに公表する」としていたが、その後、進展について発表はなかった。
すると、6月17日付の日本経済新聞が、両社の買収交渉が白紙化したことを報道。日本郵政は2015年に買収した豪子会社で約4000億円の特別損失を計上しているため、投資家から買収戦略を慎重に行うべきとの指摘が出ていることや、買収発覚後に野村不動産HDの株価が急騰したため、買収金額が高まる可能性が考えられることを白紙化の理由に挙げた。
この報道について、両社は「当社が公表したものではない」とコメントし、交渉が破談になった理由については明言を避けた。
野村不動産HDの株価は急落
両社が交渉中止を正式発表したことを受けて、19日の株式市場で野村不動産HD(東証1部)の株価が急落。午前11時22分には前日比339円安(−13.9%)の2108円に下げた。日本郵政も弱いものの、大きくは下げていない。
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