「最近の政治家は“質”が落ちている」というのは大ウソだ:スピン経済の歩き方(1/4 ページ)
政治家の不祥事が続いている。パワハラ議員がいたり、サッカーファンをののしる議員がいたり。このほかにもダメ政治家が世間をにぎわせているが、最近の政治家は本当に質が落ちているのか。いや、そうではなくて……。
新刊、出ました!
ITmedia ビジネスオンラインの人気連載をまとめた書籍『バカ売れ法則大全』(SBクリエイティブ)を発売しました。本連載「スピン経済の歩き方」の人気記事を加筆し、掲載しています。
また、ITmedia ビジネスオンラインで掲載していない書き下ろしの記事を掲載しているほか、特別インタビューとして、『1行バカ売れ』の川上徹也氏、『新・観光立国論』のデービット・アトキンソン氏にもご登場いただきました。お近くの書店やECサイトなどでどうぞ。
→『バカ売れ法則大全』(SBクリエイティブ)
先日、あるワイドショーを見ていたら、コメンテーターとして出演しているマスコミの元政治部長さんが半笑いで、こんな感じのことをおっしゃっていた。
「私はこれまで官邸や国会など政治取材を30年やってきましたけど、最近の政治家の質は本当に落ちてしまいましたね」
言わずもがな、ここのところ世間をにぎわす「政治家スキャンダル」を受けての発言だ。
「このハゲー!」なんて罵詈(ばり)雑言でパワハラをする国会議員が問題になったかと思いきや、ほどなくその方に負けないくらいの口の悪さでサッカーファンをののしる国会議員が世間の注目を集めた。
不倫がバレて頭を丸めて、「生き恥をさらしても」と泣きながら議員という立場に執着している元・経済産業政務官もいれば、妻子持ちの地方議員と新幹線でベタベタして、2連泊しても「一線は越えてません」と言い張る元タレント議員もいる。
「号泣議員」がすっかりかすんでしまうほど、キャラ立ちした「政治芸人」が次から次へと現れる今、元政治部長さんがおっしゃるとおりだ、と大きくうなずく方も多いだろう。
ただ、この方を悪く言うつもりは毛頭ないが、飲み屋でおじさんたちが「最近の若い奴はダメだよなあ」と愚痴り合っているのと同じ匂いがする。要するに「昔は今よりいい時代だった」という『三丁目の夕日』的な幻想にとらわれている可能性が高い。
客観的に日本の近現代史を振り返ってみても、政治家の「質」が高かったと胸を張って言えるような時代は存在しないからだ。
例えば、よく言われることだが戦前の政治家はメチャクチャで、愛人がいるのは当たり前、なかには、酒乱で不祥事連発、あげくの果てに妻を斬り殺したなんて醜聞が報道されても、「お友だち」である大久保利通が必死にかばって、内閣総理大臣までのぼりつめた黒田清隆なんて人もいる。汚職もわりとスタンダードで、「政商」という言葉が生まれたように、財閥系企業とくっ付いた利益供与や口利きは、当時の政治家の「なりわい」だった。
関連記事
- 日本人が「通勤地獄」から抜け出せない、歴史的な背景
暑くなってきたので「満員電車」が辛くなってきた。「働き方改革を実現しよー」「時差出勤をしよー」と叫ばれているのに、なぜ“通勤地獄”は解消されないのか。その歴史をひも解いてみると、意外な事実が……。 - 日本全国の土産物屋で、なぜ「木刀」を売っているのか
修学旅行のときに、土産物屋で「木刀」を購入した人もいるだろう。家に持って帰っても、特に使い道があるわけでもないのに、なぜこのようなモノを買ってしまったのか。いや、そもそも、なぜ土産物屋で木刀が売られているのか。その謎は……。 - 「石原さとみの眉が細くなったら日本は危ない」は本当か
女優・石原さとみさんの眉がどんどん細くなっている。彼女のファンからは「そんなのどーでもいいことでしょ」といった声が飛んできそうだが、筆者の窪田さんは「日本経済にとって深刻な事態」という。なぜなら……。 - なぜ日本のおじさんは怒ると「責任者を呼べ!」と騒ぐのか
街中を歩いていて、おじさんが「責任者を出せ!」と騒いでいるのを聞いたことはないだろうか。例えば、駅員に大声を出したり、コンビニの店員を叱ったり、とにかく日本のおじさんはよく怒っている。なぜおじさんは「責任者を呼べ!」と叫ぶのか、その背景を調べてみると……。 - 「着物業界」が衰退したのはなぜか? 「伝統と書いてボッタクリと読む」世界
訪日観光客の間で「着物」がブームとなっている。売り上げが低迷している着物業界にとっては千載一遇かもしれないが、浮かれていられない「不都合な真実」があるのではないだろうか。それは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.