カンロで売れている「グミッツェル」、開発秘話を聞いてきた:あの会社のこの商品(1/4 ページ)
キャンディやグミでおなじみのカンロが、ヒトツブカンロという直営店を展開しているのをご存じだろうか? ヒトツブカンロでは、スーパーやコンビニでは売っていないカンロ商品を扱っていて、一番の売れ筋は「グミッツェル」。グミでありながら外がパリッとした独特の食感は、どのようにして生まれたのか。担当者に聞いた。
グミといえば、しっとりした食感が特徴。この独特の食感がたまらなく好きな人も多いだろう。
ところがグミ大手のカンロは、外がパリッ、中がしっとりとしたグミ「グミッツェル」を開発。2012年6月に直営店「ヒトツブカンロ」がオープンしたと同時に販売を開始した。
グミッツェルの特徴は独特の食感と、プレッツェルの形をしていること。また、グミらしいカラフルな色合いはそのままに、表面が白っぽくなっており、まるで、すりガラス越しにグミを見ているかのような印象を受ける。この独特な食感と見た目の菓子は、どのようにして生まれたのか。
どこかのタイミングで商品化したかった独特の食感
グミッツェル誕生のきっかけは、社内に立ち上げた「グミプロジェクト」にあった。プロジェクトが発足したのは10年以上も前のことで、カンロの人気グミ「ピュレグミ」に続くグミをつくる目的から発足した。
このプロジェクトで議論を重ねる中で、新しい食感を目指すことが決まった。固いものや柔らかくトロッとしたものといった案の中に、グミッツェルで実現した独特の食感が含まれていた。
経営企画本部ヒトツブ事業室 課長の金澤理恵さんは、「食感のコントラストが楽しめたらいいのではないか、といったことがプロジェクトで提案されました。ここから話が進み、『外がパリッ、中がしっとりしたものができたら面白い』となり、方向性が固まりました」と話す。これにより、グミッツェルの研究開発がスタートすることになった。
しかし完成しても、スーパーやコンビニでは売れなかった。理由は、割れやすいためである。
この問題を解決したのが、ヒトツブカンロだった。別に進んでいたヒトツブカンロのオープンに関する企画と、グミッツェルの開発が融合し、ヒトツブカンロの商品として扱うことが決定。これにより、販路に関する問題は解決した。
「食感が面白く、モニター調査をしても評価が高かったことから、社内ではどこかのタイミングで商品化したいという思いがあった」と話す金澤さん。ヒトツブカンロでは、1個ずつトレーに入れた上に包装して販売。過剰とも思える包装は直営店だからできることで、スーパーやコンビニなどで売る場合は、ここまで手間とコストはかけられなかった。
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