オリックスGが箱根に初の新築旅館を開業した背景:15年前に旅館事業参入(1/3 ページ)
ホテルや旅館などを運営するオリックス不動産が初の新築旅館となる「箱根・芦ノ湖 はなをり」をオープンした。これまでの旅館ビジネスで培ったノウハウやアイデアが詰まっているという。
ホテルや旅館などの再生や運営ビジネスを手掛けるオリックス不動産が、初の新築施設に乗り出した。日本有数の観光地である神奈川県箱根町に旅館「箱根・芦ノ湖 はなをり」を8月1日に開業した。
オリックスグループが旅館を運営することを知らない人も多いだろう。従来からマンションや商業施設などを運営していたオリックス不動産が旅館ビジネスに参入したのは2002年のこと。大分県別府市の「別府 杉乃井ホテル」を皮切りに、現在は8施設を運営する。過去15年間で培った経験やノウハウを基に、新築施設に投資して一層の事業拡大を図るというわけだ。
はなをりは芦ノ湖の湖畔にある富士箱根伊豆国立公園内に建つ。一般的に国立公園は自然公園法によってむやみに建物を造るのは規制されている。さらに同旅館のエリアは、第二種特別地域に当たるため、非常に厳しい制約条件がある。なぜこの場所に新築旅館を建てることができたのか。
「元々この場所にはホテル箱根アカデミーという学校があり、この同校がホテル運営の免許を持っていました。その既得権を国から許可してもらい、建て替えという形で新築旅館を作ることができたのです」とオリックス不動産で宿泊事業本部 旅館事業部長を務める森直樹氏は説明する。
同社は13年に土地を取得。規制によって屋根や壁面の色、形態が自然の調和を乱してはいけないため、はなをりは新築旅館という割には地味な外観である。ただし、法律が改正されない限り、周辺に競合の宿泊施設などが建つことはない。例えば、目の前に別のホテルができて客室から芦ノ湖の景観が損なわれるなどのリスクはないということだ。「この景観を独占できるのが強み」と森氏は力を込める。
同社は以前から箱根で温泉旅館を運営したいという考えがあり、長らく立地を探していた。「箱根は日本を代表する温泉地。首都圏からも近く、アクセスが便利。ここで運営することの価値は大きい」と宿泊事業本部長の橘正氏は話す。
箱根は大涌谷周辺の火山活動によって15年は厳しい状況にあったものの、早くも16年には回復して、観光客数は1956万5000人(前年比12.6%増)となった。
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