特集
オリックスGが箱根に初の新築旅館を開業した背景:15年前に旅館事業参入(3/3 ページ)
ホテルや旅館などを運営するオリックス不動産が初の新築旅館となる「箱根・芦ノ湖 はなをり」をオープンした。これまでの旅館ビジネスで培ったノウハウやアイデアが詰まっているという。
はなをりでは、杉乃井ホテルの実績に加え、新築という強みを生かしてハード面でも工夫を凝らした。それがロビーに隣接する水盤テラスと足湯カウンターである。これはチェックイン、チェックアウト時の待ち時間などに顧客がくつろげる場所という機能的な意味合いがある一方で、同旅館の象徴的な撮影スポットにしたいという狙いもある。
同旅館がメインターゲットにするのは女性客であり、特に若い女性は写真を撮ってInstagramなどのSNSに投稿するのが習慣化している。それがSNSで拡散して施設の認知度が高まり、集客につながることは十分にあるという。「この光景はSNSにアップしたいという女性の気持ちをくみ取った仕掛けを作るというのは、最初の基本構想からありました」と森氏は明かす。
さらには、これまでにない施策として、将来的にはIoT(モノのインターネット)を使った旅館内の混雑状況の可視化もしていきたいという。「客室や館内に設置したモニタでお風呂やレストランの混雑状況がリアルタイムで把握できれば、お客さまをお待たせすることなく案内することが可能になるでしょう」と森氏は展望を語る。
紅葉シーズンである11月の箱根は、年間を通じて最も観光客が訪れる。競合がひしめき合うこのエリアにおいて、はなをりの存在感をいかに発揮できるか注目したい。
関連記事
- 星野リゾート「リゾナーレ八ヶ岳」の成長が止まらない理由
2001年、ホテル・旅館の運営会社として星野リゾートが手掛けた第1号案件が、山梨県にある「リゾナーレ八ヶ岳」だ。運営開始から3年後に黒字化、現在の売上高は40億円を超える。その好業績の裏側に迫った。 - 衰退一途の今治タオルが息を吹き返した“大事件”
愛媛・今治の地で100年以上前から続くタオル産業。長らく日本有数の産地として発展を遂げたが、1990年代に入ると中国産の安い製品に取って代わられるなど、生産量が激減した。そこからどのような復活劇を遂げたのだろうか――。 - ニセコに2夜限りの“幻のレストラン”が開店したわけ
7月下旬、北海道・ニセコで2日間限りの野外レストランが出現した。「DINING OUT」という名のこのレストランは、これまでにも地方のさまざまな場所でオープンしている。“幻のレストラン”を現地で見てきた。 - 星野リゾート、なぜ都市観光ホテルに注力?
星野リゾートが北海道・旭川駅近くにある「旭川グランドホテル」の運営をスタート。2022年には大阪・新今宮駅前に新たなホテルを開業予定だ。なぜ星野リゾートは都市観光ホテルに力を入れるのだろうか……? - 成長可能性都市ランク、1位は福岡市、2位は……?
野村総合研究所は国内100都市を対象にした「成長可能性都市ランキング」を発表した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.