「ウィルキンソン」がバカ売れしている本当の理由:スピン経済の歩き方(2/5 ページ)
「ウィルキンソン」が売れている。躍進のきっかけはハイボールブーム。割り材としての需要が増えたことでブランド認知が上がったそうだが、大事な要素が欠けているのではないだろうか。どういうことかというと……。
ウィルキンソンのブランド価値を押し上げた
では、ウィルキンソンの価値を維持しつつ、世に普及させるためになにがあるかと考えると、「炭酸水市場全体の底上げ」というやり方が浮かび上がる。
スーパーやコンビニでミネラルウオーターと変わらぬほど安い炭酸水が溢れかえれば、これまで炭酸水を飲んだことがない者も手を伸ばす。そうなると、「炭酸水好き」になった者は「次はちゃんとしたブランドのを飲むか」となる。そこで、コンビニやスーパーの棚を見渡してみると、「日本生まれの100年タンサン」なんてテレビCMをやっているおしゃれなパッケージの炭酸水が目に飛び込めば、そちらへわっと流れるのは容易に想像できよう。
つまり、ウィルキンソンの躍進は、一部の愛好家のみに支持されていた炭酸水がPBによって市場が拡大した「追い風」の影響も否めないのである。
「そんなのはお前の妄想だろ、フェイクニュースを勝手に流すな!」という怒声があちこちから飛んできそうだが、これは筆者がテキトーに思いついた話ではなく、アサヒ飲料の方がそうおっしゃっている。2015年3月まで経営をなさっていた本山和夫前社長だ。以下、『日経MJ』(2013年6月24日)のインタビューを引用させていただく。
ーープライベートブランド(PB=自主企画)についての考え方はどうですか。
「まずはナショナルブランド(NB)をしっかりやっていくというのが基本です。ただNBの価値向上につながるものであれば検討します。例えばセブン&アイ・ホールディングスとは『炭酸水』や『凍頂烏龍茶』をやっています。炭酸水はPBで火が付きNBの『ウィルキンソン』の活性化につながりました。PBをうまく活用できた好例です」
要は、PBという「大衆ライン」をつくることで、ウィルキンソンというナショナルブランドの価値を押し上げた、というわけだ。
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