ジャガイモ農家「補助金」の裏に、きたるべき“戦争”への布石:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
農林水産省が今年春の「ポテチ品薄騒動」を踏まえて、加工用ジャガイモを生産する農家に補助金を出すというニュースが流れた。差し迫った危機があるわけでもないのに、なぜ補助金を出すのか。筆者の窪田氏は「『戦争』に備えてのことではないか」という。どういう意味かというと……。
農林水産省が今年春の「ポテチ品薄騒動」を踏まえて、加工用ジャガイモを生産する農家に補助金を出すというニュースが流れた。
これを受けてネットでは、「うちの近所のスーパーじゃ、ポテチ山積みだぞ」「なぜジャガイモだけ特別扱い?」と釈然としないという意見が多く寄せられている。確かに、昨年夏は天候不順によって農家のみなさんが壊滅的な被害を受けたものの、今年は生産量も回復して例年並となっている。厳しい経営を強いられる農家は他にもたくさんいるなかで、ポテチの原料だけに30億円もの公金が投入されるのは不公平だというのだ。
そんななかで、解散総選挙の報道もあって、「政府が選挙対策のためのバラまきでは」なんて陰謀論までささやかれている始末だ。
いわゆる「バラまき」というのは、旧民主党を平成21年度衆院選で大勝させた農業者戸別所得補償制度や、「子ども手当て」のように、対象が広くなくては意味がない。ジャガイモ生産の8割を占める北海道の生産者も1万戸程度、しかも、補助金の使途も、種イモや加工用ジャガイモの生産力アップのための機械の導入や、選別作業の効率化となっている。「バラまき」にしてはあまりにも限定的だ。
そうなると、ますます謎が深まっていくと首を傾げる方も多いかもしれないが、実は答えは拍子抜けしてしまうほどシンプルである。国として、きたるべき「戦争」に備えて、加工用ジャガイモの生産体制を強化させておきたいからだ。
いやいや、いくら北朝鮮と米国が一触即発で日本も巻き込まれる恐れがあるからって、ジャガイモで飢えをしのごうなんて太平洋戦争じゃあるまいし、と思うかもしれないが、ここで言う「戦争」はそういう類のものではない。
ポテチ品薄騒動後、水面下で激しいつばぜり合いが行われている「日米ジャガイモ戦争」のことだ。
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