頑張る方向を間違える営業マンたち:常見陽平のサラリーマン研究所(1/2 ページ)
求められる営業のスキルが変化しているのに、ずれ続けている営業マンがいる。必要とされているのは、課題解決力や企画提案力なのだが、それらはどこで学べるのだろうか。
20年前、私は営業マンだった。しかも、超売れない営業マンだった。トップ営業マンならぬ、宴会芸だけがウリのトップレス営業マンだった。
いま振り返ると売れない要素がてんこ盛りだったように思う。きちんとヒアリングができていないので、顧客の課題を把握してない。コミュニケーションが一方通行で提案がずれている。会ってくれる顧客のところばかり訪問していたのだが、彼らは別に決済権があるわけでもなく、かわいそうだから私の話に付き合ってくれていたのだった。
すさまじい数の企画書を書いたが、全く売れなかった。受注を獲得する先輩たちを見て、自分はなんてダメなやつなんだと思った。
そして数年後、今度は営業される立場になった。このとき、自分以上にダメな営業マンをたくさん見てきた。大手企業やベンチャーを含めてだ。
営業の役割は、徐々に変化している。ノリと勢いだけで売れるわけではない。よく、ドラマでペコペコする営業マンや、ゴリ押しする営業マンが出てくるが、そんな時代はとっくに終わっている。
今の営業マンに求められるのは「課題解決力」と「企画提案力」である。顧客の課題が高度化している上、商品・サービスがコモディティ化する中、いかに深く顧客の課題を聞き、提案できるか。ここにかかっているのだ。商品力が落ちていても、提案力があれば売れる。そして、市場を作っていくのだ。
このように求められる営業の仕事が変化しているのに、ずれ続けている営業マンがいる。本人も駄目なのだが、それを放置する上司にも問題がある。なんせ、求められるスキルの認識が20年前の自分の新人時代で止まっているのだ。こうして「頑張る方向が間違っている系」の営業マンが生まれていく。
関連記事
- 「世の中全て分かっている系」が厄介な理由
「意識高い系」より面倒くさいのが「世の中全て分かっている系」の人である。自分の得意分野と、生きてきた時代を基準に全てを語ろうとするので非常に厄介なのだ。 - あなたの会社は若者から魅力的に見えていますか?
2018年度の新卒採用が既に盛り上がりを見せている。「新卒の採用なんて関係ねえよ」というサラリーマン諸君も多いことだろう。しかし、サラリーマンとしての保身のためにも、少なくとも自社の採用については関心を持つべきだ。 - ビジネス界は「あれはオレがやりました」で溢れている
雑誌のインタビューに出てくる「俺がやりました」的な奴は、疑ってかかったほうが良い。期待するほどそいつは仕事していない。実際は、みんながそれなりに仕事をしているのだ。 - BOOWY好きの上司と飲むときに気を付けたいこと
群馬県高崎駅に伝説のロックバンド「BOOWY」と書かれたポスターが現れ、盛り上がっている。サラリーマン的に問題なのは、今月の会社の飲みの席で、男性上司から高い可能性でこの話題が出ること、それにどう対応するかということではないだろうか。 - 「残業(長時間労働)は仕方ない」はもうやめよう
電通の新入社員が過労自殺するという事件が起こり、話題になっている。政府はいま「働き方改革」を進めて長時間労働の是正に取り組んでいるが、繰り返されてきたこの問題を本当に解決できるのだろうか。労働問題の専門家、常見陽平氏に話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.