「なぜあの人が昇進?」人事から見えてくる会社の“いま”:常見陽平のサラリーマン研究所(3/3 ページ)
人事というのは経営陣からのメッセージである。誰が営業部長、マネジャー、リーダーに上がるかによって、その企業や事業部が目指す営業スタイルや方針を読み解くことができるのだ。
このように「人がどこからどこに動いているのか」は、まさに市場の分析において見落としてはいけないポイントだ。どの業界が、企業が盛り上がっているのか、そして自社はどんな立ち位置なのか、転職する人たちの動きをみるだけでも、大いに参考になるのだ。
もう1つ、押さえておくべき点で言うならば、内定者の顔ぶれだ。売り手市場が続いており、採用は困難を極めている。自社は人を採れているのかどうかを見てほしい。人を採用できない企業に、先はない。既に若者にとって魅力がない企業になっていないか、危機感を持つべきだ。さらには、エンジニアの割合が増えたなど、採用の傾向をみることにより、やはり自社の進む方向が見えるのである。
というわけで、人事談義はゲスい話もいっぱいで酒の肴(さかな)には最高なのだが、一歩ひいて、業界や自社の行方を考える機会にもしてみよう。
常見陽平のプロフィール:
1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』『エヴァンゲリオン化する社会』(ともに日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)『普通に働け』(イースト・プレス)など。
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