なぜ高収益? 急成長する「ブロンコビリー」の戦略とは:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/4 ページ)
ブロンコビリーが急成長を続けている。特筆すべきは利益率の高さで、外食企業ではトップクラスだ。成長性と高収益の秘訣(ひけつ)はどこにあるのだろうか。
ステーキ、ハンバーグ、サラダバー専門のレストランチェーン、ブロンコビリーが急成長を続けている。2010年から16年まで、7年連続で増収増益。10年の年商は約88億円だったが、16年は約180億円と、2倍以上に伸びた。
経常利益も約12億円から約28億円へと、こちらも2倍以上に伸びている。16年12月期の決算は過去最高の業績を更新した。
店舗数は116店(全て直営)。東海、関東、関西の1都2府9県に出店している。本社のある愛知県内に41店と集中しており、まだまだ出店余地がある。
特筆すべきは利益率の高さで、経常利益率15.6%は外食企業ではトップクラス(日経MJ調べ)だ。上場している外食企業の売上高上位20社の平均が4.6%であることからも、いかに高収益を上げているかが分かるだろう。
ブロンコビリーの成長性と高収益の秘訣(ひけつ)はどこにあるのだろうか。
「けん」や「ステーキガスト」が伸び悩む中でも成長
本題に入る前に、ステーキ、ハンバーグ、サラダバー業態の近況を振り返ってみよう。ブロンコビリー以外では、エムグラントフードサービスが06年に1号店を出店した「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」(以下、けん)が、リーマンショック後の円高・デフレを背景に、輸入の格安1000円ステーキで爆発的に拡大していた。
サラダ、ライス、カレー、スープ、デザートが食べ放題の価格破壊で、ピーク時の12年には200店を超え、連日大行列。この調子で400店、500店と、拡大するかと思われた。
ところが、すかいらーくが同様の業態「ステーキガスト」を展開するなど、大手外食企業が進出してくると大失速。アベノミクスによる円安での輸入牛肉高騰もあって値上げを余儀なくされ、けんは60店にまで縮小している。ステーキガストも一時期、全国の「ガスト」が業態転換するかと思うほどの勢いにあり、12年には160店にまで一気に伸びたが、今は減少し137店にとどまっている。ブロンコビリーが抜くのは時間の問題だ。
けんやステーキガストが伸び悩み、飲食業界ではピークを過ぎたと考えられているステーキ、ハンバーグ、サラダバーの業態で、コンスタントに業績を伸ばしているのがブロンコビリーのスゴいところである。
ちなみにワタミが新しく開発した東京の蒲田と南砂町にある「カタマリ肉ステーキ&サラダバー にくスタ」は、ブロンコビリーをベンチマークしたと、ワタミが公言している。
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